2000年10月・今月の写真

2000年9-10月の海底地震観測から。

1999、2000の両年の夏に北海道南方沖で北海道大学地震火山研究観測センターは大規模な海底地震観測を繰り返している。これは自然地震を多数観測して、地球トモグラフィーを行い、北海道の地下を今までにない精度で研究しようとする試みである。これらの年度にはそれぞれ海底地震計を27台海底に設置して、1-2ヶ月間の連続観測を行った。設置には函館海洋気象台の『高風丸』の援助を依頼したほか、北海道大学が傭船した船があたり、回収は北海道大学が傭船した船で行った。

この9月末から行われた回収航海で、襟裳岬のはるか沖、水深2600メートルのところに設置した海底地震計を回収したところ、写真のような不思議な卵の房が二つ着いて帰ってきた。白い半透明な卵で一個一個は鮭のイクラくらいの大きさ。しかし、皮はずっと固く、弾性が大きい。大学院生が甲板に落としたところ、ずいぶん高く跳ね上がった。

私たちの海底地震計に魚が入り込んでいた例は多いし、昆布が巻き付いていたこともある。またカニが卵を産んだらしく、カニの赤ちゃんがいっぱい着いてあがってきたこともある。しかし、このような卵は初めてである。


右は そのタマゴの拡大写真。半透明で美しい。


【その後】元秋田県男鹿水族館館長の伊藤光機さんから、以下のことを教えていただきました。ありがとうございました。なお、氏の魚の卵のホームページをご覧下さい。(男鹿水族館は2002年8月31日で閉館しました。 開館から35年の月日が流れ、建物の老朽化が進んだためだそうです)。

私が見た魚の卵はほんの少しだけです。 ましてや深海の魚に関しては何の知識もありません。

無理して考えても、クサウオ類か、カジカ類しか思い浮かびません。 クサウオ科の魚類は体が寒天みたいに軟らかく、かなり深海まで生息しています。 その中の一種であるザラビクニンは、水深800mくらいまで生息し、男鹿半島沖で「アマエビ」籠で採れます。

水槽で産卵した卵は、乳白色で卵粒径4.5mmの卵塊で付着方法が違うようですが、写真と似ています。 クサウオの仲間にはハタハタのように芯になるものに付着させるのもいます。 カジカ類もかなりの深海まで生息して、卵形態は「卵塊」が多いようです。(元秋田県男鹿水族館館長 伊藤光機)

関連エッセイ:海底地震計が拾ってきたタマゴ」のエッセイはこちらに

島村英紀が撮った海底地震計の現場
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