島村英紀『「地震予知」はウソだらけ』

講談社文庫

(クリックすると拡大します) (また裏表紙と袖も含めた表紙はこちら
2008年11月14日発売。



この本の目次

●まえがき        3
T 琵琶湖の活断層、対応しようもない数字… ……………………………………3
U あいまいな仮定、あいまいな発生確率… ………………………………………6
V この本を書いた動機… ……………………………………………………………………8
W 本書はなにを言いたいのか… …………………………………………………………10
●フィクション―201X年夏■ Part 1      13
●第T章 地震が予知できない理由    29
T 天気予報と地震予知はレベルがちがう… ………………………………………31
U 海溝型地震だけは、やがて起きることがわかっている… ………………38
V 歴史から消された「前兆」……………………………………………………………44
W 地震が起きてからの「前兆」報告… ………………………………………………52
X 地震予知が輝いていた時代… …………………………………………………………56
Y 地震予知のバラ色は消えてしまった……………………………………………65
Z 「自己申告」の前兆は誰も評価できない………………………………………72
[ 日本だけが突っ走る地震予知………………………………………………………77
●第U章 世界最初の地震立法ができてから   85
T 地震予知はここからはじまった… …………………………………………………87
U お役所の縄張り争いがスタート… …………………………………………………96
V 急増した地震予知の予算… ……………………………………………………………101
W 急ごしらえの地震立法…………………………………………………………………107
X 旧帝大だけが優遇された… ……………………………………………………………116
Y 学会はなにをしていた? … ……………………………………………………………120
Z メディアはなにをしていた? ………………………………………………………125
 ●第V章 阪神淡路大震災。お役人の変わり身    131
T 阪神淡路大震災の衝撃…………………………………………………………………133
U 阪神淡路大震災、役人の対応ぶり… ………………………………………………139
V 縄張りを死守するお役人たち………………………………………………………146
W 原子力の失点を救った地震予知… …………………………………………………152
X 地震予知の「身代わり」、2本の柱… ……………………………………………157
Y 海溝型地震の確率もあいまい………………………………………………………169
●第W章 不意打ち対策へのシフト     173
T 「地震対策大綱」で不意打ち対策に「シフト」… ……………………………175
U 新顔プレスリップの登場… ……………………………………………………………185
V 判定会が頼るのはカンだけ… …………………………………………………………192
W プレスリップの場所によっては地震予知はお手上げ… …………………199
X プレスリップかどうか判断できない例が多発している… ………………212
Y 気象庁の「体質」… …………………………………………………………219
●第X章 「東海地震対策大綱」が「大震法」を上塗りしたために   225
T 公認の被害想定とは… ……………………………………………………………227
U 原子力発電所は耐えられるのか… …………………………………………………232
V 政府は個人を支援しない… ……………………………………………………………248
W 東海地震対策大綱と地震警報の矛盾……………………………………………256
X 弱者が切り捨てられる震災… …………………………………………………………266
Y 緊急地震速報という方便… ……………………………………………………………274
●第Y章 地震という妖怪と上手につきあう方法    289
T 社会とともに「進化」する震災… …………………………………………………291
U 前例がない揺れに対処できるのか… ………………………………………………297
V 地震から助かる方法… ……………………………………………………………302
W どこへいった? 東海地震… …………………………………………………………320
X スマトラ沖地震が日本でも起きる? ……………………………………………328
Y 地震予知はできなくても、津波被害だけは防ぎたい… …………………336
Z 四川大地震からなにを学ぶ… ………………………………………………………344
●フィクション―201X年夏■ Part 2     355
●あとがき     369
●文庫本のためのあとがき     374
●解説 辻村達哉 共同通信編集委員    378 (解説の本文はこちらへ)


文庫本のためのあとがき

 阪神淡路大震災(1995年)のとき、作家の野坂昭如氏は神の存在を確信したと書いた。

 戦前の大水害や第二次世界大戦での空襲の大被害からの復興だけではなく、市街地開発や山を削って海を埋め立てる国土改造の先兵だった神戸を地震が襲ったこと、しかも季節が冬で、新幹線が通る寸前の明け方だったことが、偶然にしては、あまりにできすぎていたからだった。

 その後も、日本に起きる地震は発表されている「地震危険度(315頁)」や、政府が危険度を計算して発表している活断層調査(157頁)をあざ笑うように、危険とされていないところばかりに起きてきている。

 2000年の鳥取県西部地震、2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震、首都圏直下地震、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、2008年の岩手宮城内陸地震、どれもそうだった。

 しかも、原子力発電所を作るときに「日本の内陸ではマグニチュード6.5を超える地震は起きない」ことを前提にしている(237頁)のに、それよりもずっと大きな内陸地震が起きているのだ。

 新潟県中越沖地震も、東京電力が、わざわざ首都圏や自分の電力供給圏を避けて作った柏崎刈羽原発を襲った。

 そのうえ、原発を作る設計指針で「将来起こりうる最強の地震」とか「およそ現実的ではないと考えられる地震」と想定していた揺れ(加速度)をはるかに超える揺れが記録された(235頁)のだった。

 続発しているこれら「政府の想定外」の地震は、自然からの警告かもしれない。この警告を読みとって、この次の地震が致命的な災害をもたらさないために備えておくことができるかどうか、人類の知恵が試されているのであろう。

 この本は『公認 地震予知を疑う』(柏書房、2004年2月)に、その後の情勢の変化も加えるなど、かなり大幅に加筆した。そのほか、単行本にはなかった図や写真を追加して、わかりやすくしたつもりである。また、担当編集者である福島真一さんには、いろいろな面で大いにお世話になった。記して感謝したい。

 文庫本化するにあたり、その後の関係者への取材で分かった、初版にあった間違いも直した。間違いで迷惑をおかけした方々にお詫びして訂正したい。初版当時は官庁の現職におられた関係者からは聞き取れなかったことが分かったからである。

 また、その後に起きて9万人もの死者・行方不明者を出した四川大地震(2008年)や4000ガルという史上最高の加速度を記録した岩手・宮城内陸地震(2008年)や、気象庁が2007年から開始した緊急地震速報や、問題点が多い津波予報や地震保険についても加筆した。

 日本の地震予知計画が1965年にはじまってから、「一度も予知に成功していない」記録は日々更新を続けて40年を超えた。地震予知を前提にした大震法(大規模地震対策特別措置法)は成立以来30年になったが、お役人のメンツと無謬神話に支えられて、まだ生き延びている。

 「解説」に辻村達哉さんが書いてくださっているように、私は不本意にも、外国の大学との共同研究のことで突然逮捕され、171日間の勾留を経て、執行猶予つきの有罪判決を受けた。そのことは『私はなぜ逮捕され、そこで何を見たか。』(講談社文庫)に書いた。

 「国策逮捕」という言葉がある。外務省の職員である佐藤優さんの逮捕と裁判で有名になった言葉だが、そのほかにも、国の原子力政策を公然と批判していた佐藤栄佐久・前福島県知事も、国策逮捕と有罪判決で口を封じられたのではないかという意見もある。

 私の場合にも、2004年に単行本で出したこの本で日本の地震予知を公然と批判したことが逮捕と有罪につながったのではないか、と考えている関係者も少なくない。しかし、真相はわからない。

 しかし、幸い、地震予知批判は、私がなんの公職にいなくてもできる。研究費としては国からの金しかない学問である地震学は、ある意味では御用学者だけの学問になっている。仲良しクラブにすぎない地震学会にはできないことをするのが私に課せられた役目かもしれない。

 地震予知は国民の生命や財産に直結する課題だ。狭い意味の「国益」や官僚のための「省益」ではなくて、真に国民のためになにが必要なのかを、これからも訴えていきたい。


●この本の解説 辻村達哉 (解説の本文はこちらへ)


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