島村英紀『北海道新聞』 2013年10月27日(日曜)。「ほん」頁。12面

地球年代学で謎解き
書評『骨・岩・星---科学が解き明かす歴史のミステリー』クリス・ターニー(著)。古田治(翻訳) 。日本評論社。

 日本ではそれほど知られていることではないが、米国では、進化論を教えていない学校が多い。かつてのアポロ計画での月面到達やITで科学の最先端を行っているように見える国での意外な一面である。

 米国では、その代わり聖書にある「世界のすべては6000年前に神がたった6日間で作ったもの」という「創造主義」が教えられていて、国民の44%もが信じている。

 この本は地球年代学と言われる学問のいろいろな手法を駆使して、地球の創世の歴史から、恐竜が死に絶えるきっかけになった巨大隕石の衝突の年代、人類の誕生の歴史、磔になったキリストを覆ったという聖骸布の実年代など、地球を巡るいろいろなナゾを年代学の手法で解いていくのを一般向けに著した本である。

 たとえば、イタリアのトリノで大切に保存されてきた聖骸布は、じつは約700年前のもの、つまり後年のねつ造であることが明らかになる。

 地球の歴史も、たった6000年ではとうてい化石が説明できないことから地質学者がかねてから疑問視していたが、年代学からは46億年という絶対的な年代が示されて、決定的な証拠になる。つまり「創造主義」が科学的な実証からつぎつぎに否定されていってしまうのだ。

 このほか、南半球にいた動物たちが、人類の祖先が住み着いた以後に急速に数を減らして絶滅に至ったことも時間の前後関係から明らかになる。

 また、エジプトのピラミッドの向きが、本来目指していたはずの北からわずかにずれていることから、当時の地球の自転軸のずれがわかり、現代の天文学の知識から建設された年代が確定されるというナゾ解きもある。

 地球年代学で使われるいくつもの手法を駆使して、地球にまつわるナゾをつぎつぎに解いていく面白さに満ちた本だ。科学はこの本の著者のような努力を通して広められていくのであろう。

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