『花時計』(読売新聞・道内社会面)、1996年2月8日夕刊〔No.47〕

がんばれ、哀れな北大生

 北大生をカモにする商売はいろいろある。いくつもの宗教もそうだし、旅行だ衣料品だと、多くのビジネスが北大生に的を絞っている。

 私は不覚にも女子大生もその一端を担っているとは知らなかった。

 北大の廊下には北大生の文化団体がチラシを入れているポケットのような袋がある。そこが、まるでホトトギスが他の鳥の巣へタマゴを産むように、F女子大生のチラシに乗っ取られていたのである。

 そのチラシは女子大でやる英語のミュージカルの宣伝であった。ぜひ来てね、というわけだ。

 それだけならふつうの宣伝だ。しかしこのチラシには、北大生のオモテもウラも知っている者が書いたに違いない言葉が並んでいた。

 泣かせてみせます、とすごいことが書いてある。このミュージカルは戦争を知らない私たちの社会への挑戦なのです、としっかりした哲学も披露してある。

 そのうえ、700円という学生料金が払えない北大生のためには、避難誘導員大募集、タダで見られますと財布の心配までしてくれる。F女子大の催しだが、市内の他大学生も多いよ、と自信のほども見せる。姉さん格の女子大生に、北大生が翻弄されているという構図なのである。

 きわめつけは、英語ミュージカルとある英語の下に二重線が引いてあることだ。そこにいわく「日本語解説付きなので心配なさらないで下さい」。英語の能力まで見すかされているわけだ。

 がんばれ、あわれな北大生

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