島村英紀 『巨大地震はなぜ起きる これだけは知っておこう』

「前書き」と「後書き」と「書評」と「読者からの反応」など

2011年4月25日発行。花伝社。本文304頁。四六版ソフトカバー。ISBN978-4-7634-0601-9。1700円+税

その表紙
(この絵をクリックすると拡大されます

この本は絶版になっていた『ポケット図解 最新地震がよ〜くわかる本』一部改訂して復刻出版したものです。書き換えたり加筆したところは「原子力発電所と地震」「津波」「緊急地震速報」などです。
(最新の版は、2011年5月に発行した第2版です)


 新聞・雑誌の書評と紹介

この本の塩谷喜雄氏による紹介:『ジャーナリスト』(日本ジャーナリスト会議)

隔月刊誌『Jレスキュー(J-Rescue)』(消防・防災・レスキューの専門マガジン)。2011年7月号。イカロス出版。 "Interview to Author" 島村英紀「地震は予知できなくても震災は人間の知恵で減らせる!」 125頁。(『巨大地震はなぜ起きる これだけは知っておこう』の著者インタビュー)。

北海道新聞「ほん」面に紹介されました。2011年6月26日(日曜)。12面

読売新聞web版の「COME ON ギモン」に紹介されました。2011年6月28日(火曜)

図書新聞に泊次郎さんによって好意的に紹介されました。2011年7月2日(土曜)。1面

これらの書評を花伝社がOCRで文字化してくれました。


 この本の前書き

 ついに、おそれていた大震災(東日本大震災。東北地方太平洋沖地震)が起きてしまいました。

 日本を襲う大地震には2つのタイプがあります。海溝型と内陸直下型です。1995年には内陸直下型である兵庫県南部地震が起き、死者6400人以上という、当時としては1923年の関東大震災以来、最大の被害を生んでしまいました。

 そして2011年3月、もうひとつの大地震である海溝型の巨大地震が起き、阪神淡路大震災をはるかに超える犠牲者を生んでしまいました。

 本来、海溝型は起きる場所も、起きるメカニズムも、かなり分かっている地震のはずでした。しかし今回のように、岩手県沖から茨城県沖までが連動してひとつの大地震として起きたことは、少なくともこの200〜300年のあいだにはありませんでした。

 しかし、過去の津波が内陸に運んだ砂の層をよく調べてみると、東北地方でも、北海道の太平洋岸でも、500年とか1000年に一度という大津波が襲ってきていたことが、最近、分かっています。それゆえ今回の大津波は史上初のことではありません。前代未聞の地震ではなく、またこの種の大地震が起きたということだと考えられます。

 今回の大地震(東北地方太平洋沖地震)で、またも地震予知には失敗しました。日本の地震予知計画は1965年に立ち上がって以来、5年ごとの計画を次々に立ち上げながらほぼ半世紀も続いてきています。その間、一度も成功したことがない記録を延ばしつづけています。

 あまりに地震予知の進歩が遅いと思う人も多いでしょう。なぜ遅いのか、なにが難しいのかを、この本で書いたつもりです。

 一方、津波によって大変な数の犠牲者が出てしまったことは、地震学者である私としては、なんとも残念なことなのです。

 地震予知は出来なくても、地震のあとで襲ってくる津波の被害のうち、少なくとも人命の被害だけは、避けることが出来るし、避けなければならないのです。今回のように太平洋岸沖の海溝に起きる地震の場合、地震を感じてから津波が来るまでには、少なくとも30〜60分の時間があります。つまり、適切な警報が出れば、多くの人々は逃げる時間があったはずなのです。

 私はこの本に書いたように、これはいまの津波警報の仕組みに欠陥があるのではないかと思っています。もっと犠牲者は減らせたのではないか、と悔いが残るのです。

 ところでこの本ではほかにも、地震についての知識を広く全般にわたって書いています。震源でなにが起きているのか、大地震はどんな舞台仕掛けのところに起きるのかといった、地震についての基礎的な研究は、それなりに進んできています。これらの最近の研究の成果を一般の人にも知ってほしい、それが将来の地震に対する強い備えなのだと思って、この本を書きました。

 なお、この本は2005年12月に鰹G和システムから出して絶版になっていた『ポケット図解 最新 地震がよ〜くわかる本』を一部、書き直したものです。東北地方太平洋沖地震の大被害を受けて、今後、また日本を襲ってくるかもしれない地震についての知識を広めてもらうために、今回、花伝社から出版することになりました。


 この本の後書き

 2011年3月に起きた東北地方太平洋沖地震は、モーメントマグニチュード9.0という大地震でした。

 この本にも書いたようにモーメントマグニチュードは近代的な地震計が配備されてからはじめて決められるようになったものさしですから、昔の地震については比べようがありませんが、1960年にチリで起きたチリ地震のモーメントマグニチュードが9.5で、近年、世界で起きた最大の地震だと考えられています。

 その後、いままでに、今回の東北地方太平洋沖地震なみの巨大地震が世界で4つほど起きています。アラスカ地震(1964年)、カムチャッカ地震(1952年)、スマトラ沖地震(2004年)、チリ中部地震(2010年)などです。そのどれもが太平洋のまわりに並んでいて、日本もこの種の世界的な巨大地震の例外ではなかったことを改めて認識させることになりました。

 じつは、調べてみると、過去にも日本近海で同じような巨大地震が起きていたことが分かりました。これは海岸から数キロメートル入ったところまで海底の砂が運ばれていたのが調査によって分かったのです。つまり今回の東北地方太平洋沖地震は日本史上初ではなく、近代以降に起きたことがなかったので、一般には知られていなかっただけだったのです。

 その世界有数の地震国であり、いうまでもなく人口密度の高い国に60基近い原子炉を並べ、さらに原子力発電を拡大しようとしてきたのが日本でした。

 たとえば元首相・安倍晋三の祖父で1960年代に首相だった岸信介が「原子力開発は将来の日本が核武装するという選択肢を増やすためだ」と回顧録(『岸信介回顧録――保守合同と安保改定』廣済堂出版、1983年)で書いているように、原子力発電は軍事ミサイルを飛ばすための技術を磨くための宇宙開発とともに、重要な国策として推進されてきたのです。

 私は以前から地震で原子力発電所が破壊されて被害を拡大する原発震災を警告してきましたが、この東北地方太平洋沖地震では、この原稿の執筆時、東京電力の福島第一原子力発電所で、それが現実になりつつあります。この本の執筆時に、すでに米国のスリーマイル島原子力発電所事故(1979年)を超える世界的な原発事故になっています。

 かつて私は阪神淡路大震災(1995年)のあとに書いた本(『地震列島との共生』岩波科学ライブラリー)で、このように書いたことがあります。

 「阪神淡路大震災の半年あまりあと、日本では福井県にあるプルトニウム高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」で大量のナトリウム漏れという事故があった。これも世界中で大きく報じられた。天災が少なく、責任観念が発達している欧州人にとっては、政府や動力炉・核燃料開発事業団(現・日本原子力研究開発機構)がとった対策を静観しているだけの日本人の対応はかなり奇妙に見えた。かつて欧州でも同様の事故が起きたのをきっかけに廃炉にした国が続出したからである。日本人は、すべての事故を天災のように避けられないものと考えているのではないか、というのが私が知っている欧州人の反応だった。

 私はこの評価は間違ってはいないが、十分ではないと思う。日本人は天災だと思ってあきらめるのと同時に、その災害を忘れようとして忘れてしまうのではないか、と思うからである。忌まわしい震災を忘れるために、情緒的で過剰な報道が行われたオウム事件は格好の材料を提供してしまったのではないだろうか。」

 こんどの震災での原子力発電所の事故は天災ではありません。この大きさの地震がかつて日本を襲ったことがあって、その後にも繰り返す可能性があったのですから、それを想定していなかった原子力発電所が事故を起こしたのは人災なのです。

  かつて「もんじゅ」の事故のあとで起きたことがくり返されないことを、著者としては強く望んでいます。

 この本が出来るまでにはいろいろな方にお世話になりました。なかでも地震に対する備えや地震後の生活については、阪神淡路大震災(1995年)を被ったり、間近で救援に尽力された数越達也さん(当時、兵庫県須磨友が丘高校教諭)たち(伊豆倉正敏さんが中心になり、ほかに伊豆倉恵子・長谷達夫さんも)がまとめられた『阪神淡路大震災被災者の教訓集』を引用・参考にしました。この教訓集は、インターネットでもhttp://homepage2.nifty.com/ja3tvi/hys.htmlやhttp://homepage2.nifty.com/ja3tvi/で見られます。

 また、昔の地震についての資料は古地震学の権威である伊藤純一博士に多くのことを教わりました。記して感謝します。


 読者からの反応

2011.4.30 「非常に分かりやすく、しかも判らない部分は判らないとちゃんと書いてある、誠実な書だ
 島村英紀さんの新書「巨大地震はなぜ起きる」を読んでいる。非常に分かりやすく、しかも判らない部分は判らないとちゃんと書いてある、誠実な書だ。地震予知中心主義の日本の地震行政の方向転換を迫りつつ、地震に関する基本的な知識を幅広く押さえてある


2011.4.30 「島村さんの本を読むたびに、浜岡だけは止めておけと
 島村さんの本を読むたびに、浜岡だけは止めておけと、思わずにはいられない

2011.5.02 「書店に勤務している友人に最近読んで面白い本は何と聞かれたので
 書店に勤務している友人に最近読んで面白い本は何と聞かれたので島村英紀さんの「巨大地震はなぜ起きる」とナックルズの久田さんが出した「トラブルなう」を推しておく。彼からは「鬼畜の家」と綾辻行人の「フリークス」のミステリ2冊を推されたので今度読んでみたい


あるブログから 「前述の『公認「地震予知」を疑う』の著者である島村英紀氏の新しい書籍が、東日本大震災の後に出版された。ここでは、地震予知の問題点指摘や批判はほどほどに、現時点で科学的に分かっている地震に関する知識や、現実として可能である地震・津波対策などについて、項目ごとに簡潔に紹介されている。必要以上に専門用語を使うこともなく、とても読みやすくなっています」だそうです。

2011.6.6 「記事を書く上でとても参考になります」(ある新聞記者の人から)
最新著作の「巨大地震はなぜ起きる」を読ませていただきました。大変分かりやすく、記事を書く上でとても参考になります。


2011.6.9 「基礎的なこと全般に触れた本である」
地震関連本なら島村英紀氏の本が分かりやすくて面白い。様々な本を出されているので選択肢に迷うだろうが、テーマを絞れば参考になる本が見つかるだろう。これは、そのうちでも、基礎的なこと全般に触れた本である。

2015.7.11 「地震列島に住むものにとって必読

慢心としかし想定を超える災厄、そして(多くは健忘をともなう)再起。地震学にかぎらず、多くの科学者が宇宙を理解したと信じて挫折を繰り返してきた。地震予知、地震予測、言葉はどうあれ、現状はどうなのかを誠実に説いた本。地震列島に住むものにとって必読。


出版後に気がついた訂正(ミスプリント)と第二版以降での変更
牧師の嘘:聖職者の言うことだから、と信用できなかった地震学者 (この本の『コラム』から)


この本の8章から:「火災保険は地震の"あと"で出火しても支払われませんでした。そして地震保険にはいろいろな問題があります」
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