島村英紀 『地震と火山の基礎知識―生死を分ける60話』

「目次」と「前書き」と「後書き」と書評や読者の感想


『地震と火山の基礎知識―生死を分ける60話2015年12月1日発行花伝社
208頁。四六判並製。ISBN978-4-7634-0761-0 C0036。1500円+税
『夕刊フジ』の連載の61回から約60回分をまとめて加筆、単行本にしました。
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 この本の目次
はじめに 7
第1部 地震と火山
1 人工的に起きたオクラホマの誘発地震 10
2 未来エネルギーが引き起こす「人為的地震」 13
3 見極めにくい火山性地震 16
4 スペインで実例、地下水が誘発する地震 19
5 日本海溝に迫る大地震予備軍「海山」 22
6 首都直下 静穏期間終わった 25
7 御嶽山の噴火予知が失敗したワケ 28
8 御嶽山の500倍以上 いつ起きてもおかしくない「大噴火」 32
9 新潟県中越地震から10年 「人災」と余震予想に課題浮き彫り 35
10 地震予知に失敗したイタリア学者裁判の行方  38
11 長野県北部地震 信用ならない「震度6弱」 41
12 南海トラフ地震の「先駆け」となった西日本の直下型地震 44
13 「噴火の前兆」空振りのナゾ 47
14 米巨大地震 50年以内の発生確率75% 51
15 震源の深さに救われた過去の首都直下型 54
16 議論が分かれる巨大地震前の「静けさ」 57
17 噴火予測の困難さ見せつけた桜島 60
第2部 これだけは知っておこう地震・火山の恐怖
18 南海トラフで東京の超高層ビルが5メートル揺れる? 64
19 地震発生から5年で世界から忘れ去られたハイチの悲劇 67
20 都会襲う「火災旋風」の恐怖 70
21 乳頭温泉死亡事故 迫る危険に気づかなかった? 73
22 溶岩流でハワイが非常事態宣言 76
23 火山も原発も透視できる「ミュー粒子」 79
24 日本人全滅の可能性ある「カルデラ噴火」 82
25 「プレートの異端児」が引き起こしたネパール地震 85
26 日本で最大の津波を起こした琉球海溝 88
27 100年以上続く余震 「嵐の前の静けさ」は本当かも 91
28 深発地震の脅威 47都道府県で震度1以上  94
29 地滑り地形だらけの日本列島 97
30 最前線の研究者も大地震の前には無力だった 100
第3部 暮らしと震災──地震列島・火山列島に暮らす日本人
31 噴火口がつくる「天然の良港」 104
32 「地震の名前」めぐる政治的駆け引き 107
33 都会と地方の「震災」 同規模でも被害は数百倍の違い 110
34 海洋民族が助かったワケ 113
35 「崩壊危険」迫るダビデ像 117
36 阪神淡路大震災から20年 時刻の偶然に「神の存在」 120
37 南海トラフの「先祖」 明応地震の破壊力 123
38 大分で初「地震の遺跡」発見 127
39 警察署長がウソついた「諏訪大地震」 130
40 江戸時代は桶の水で震度を判断 133
41 戦災に追い打ちをかけた巨大地震 136
42 世界の気候にも影響を及ぼす火山灰 139
43 いつの世も火山活動に振り回される観光産業 142
44 津波被災地が抱える復興後の課題 146
第4部 地球物理学の豆知識 
45 死亡事故多数、最も危険な火山学者 150
46 中森明菜事件で逃した噴火の決定的瞬間 153
47 ジャンボ機のエンジン停止させる噴煙 156
48 現代社会を混乱させる磁気嵐 159
49 「太陽系外惑星」に高等生物が生存する? 162
50 温暖化調査のカギ握る「棚氷」地震計 165
51 現代科学では解けないナゾ 2015年4月に皆既月食 168
52 北海道でもオーロラ!! 大騒ぎ 171
53 頻度高まる隕石の衝突 174
54 石から分かる歴史とナゾ 177
55 爆発的マグマ噴火が運んだダイヤモンド 180
56 2015年7月1日 3年ぶり 183
57 地球と酷似する金星にも火山活動 186
58 数千キロの旅の末、発見されたマレーシア機  189
59 巨大氷河が地震を引き起こした? 192
60 月の誕生をめぐる、惑星の大衝突 195
おわりに 199

 この本の前書き

 このところ、日本列島で地震や火山が騒がしくなっている。地震も火山噴火も、テレビや週刊誌に取り上げられる機会が増えた。

 しかし、私たち地球物理学者から見ると、じつは日本列島のいままでの約百年が地震活動も火山活動も「異常に静かすぎた」のだ。いま起きていることは、地震や火山の活動が「日本列島としては普通の状態に」戻っている過程というべきなのである。

 いままで「静かすぎた」原因にはいくつかの学説はあるが、学問的には確定されていない。

 だが二〇一一年三月に起きたマグニチュード9.0の超巨大地震、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が日本列島の地下全体に拡がっている基盤岩を一挙に、しかも大きく動かしてしまった。

 本来ならばプレートが動き続けていることによって、年に四センチとか八センチとか、とてもゆっくり歪みがたまっていってきたのに、東北地方太平洋沖地震は一挙に数十センチから、場所によっては五メートルを超えるくらい、一挙に基盤岩を動かしてしまった。このことが、以後の地震や火山の活動に、じわじわ、影響を及ぼしていることは確かなことである。

 私たちはプレートの動きの「恩恵」も数多く受けている。たとえば四季のはっきりした気候も、登山や温泉を楽しめることも、水が豊富できれいなことも、肥沃な土地や水に支えられる農業も、豊富な地熱もプレートの動きの恩恵の一端である。じつは地震にさえ「恩恵」がある。房総半島など日本の南岸に突き出している岬の近くでは、大地震のたびに海底が飛び上がって陸地が増えているのである。

 しかし他方で、大地震や火山噴火という災害もときには受けざるを得ない。日本列島に住むことは、地震や火山とともに生きなければならないということでもある。

 地震や火山について知識を持っていることは、それらが起こす災害に備えるためにも必要なことであろう。地球物理学は日進月歩している。この本では、学問の最前線の話題を集めた。

 これからも日本を襲ってくる地震や火山噴火に備えるために本書が微力ながら役立てば、著者としては嬉しいことである。


 この本の後書き

 ふだん私たちが忘れていることだが、地球は直径一二〇〇〇キロメートルあまりある、宇宙に浮いている球だ。表面こそプレートという地球ではいちばん固い岩に覆われているが、中は柔らかい。

 たとえば地球が自転しているために、遠心力で赤道付近が直径の約三〇〇分の一ほど出っ張ってしまっているが。この出っ張りの量は固体ではなくて、むしろ流体に近いことを示している。このことは地球全体としては液体に近い、つまり柔らかいものだということだ。

 地球が生まれたのは約四六億年前で、今日に至るまで、一度として同じ姿になったことはない。一時は「マグマ・オーシャン」といわれる、地球の表面全体が溶けた溶岩で覆われた高温の時代も、「スノーボールアース」といわれる、地球全体が氷に覆われた低温の時代もあった。

 じつは太陽系は太陽も惑星も同時に生まれた。同じときに生まれた兄弟の惑星である金星や火星などといまの地球がまったく違った姿になっているのは、惑星としての大きさによるその後の「冷え具合」や太陽からの距離による熱の受取りの量の違いによるものだ。

 地球の内部はまだ高温で、月ほどの大きさの大きな溶けた鉄の球を内部に抱えている。この解けた金属が流れることで地球の磁場を作っている。また地球内部の高温は岩を柔らかくして長い間には流動させている。

 つまり地球はまだ生きて、動いているのである。生きているこの「息吹」が地震や火山噴火なのである。

 一方、地球を調べる学問は、それなりに進歩しているとはいえ、まだまだ、分からないことが多い。たとえば人間が掘った最深の穴は一三キロメートル。これは地球の半径の五〇〇分の一、サッカーのボールの縫い目よりも浅い。つまり地球の内部を研究することは人類が到達したことも見たこともないところを、いろいろな手段で研究することである。

 この本では地球やそこで起きている地震や火山について、いままで分かってきている事実のほか、研究の最前線の話題も集めた。科学は、いまだに分からないことへの挑戦でもある。本を読んでくださって科学のロマンの一端でも感じてもらえることが著者の本望でもある。

 なお、この本は新聞『夕刊フジ』に二〇一三年五月から毎週連載している「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」の約六〇話から約六〇編に加筆したものだ。

 その前の約六〇話は、同じようにまとめて『油断大敵! 生死を分ける地震の基礎知識60』(花伝社)として二〇一四年に刊行した。

 本として出版するにあたって、花伝社の平田勝社長から強いお薦めがあり、また同社の水野宏信さんには、多くの編集の作業の労をとっていただいた。感謝したい。


長周新聞の紹介(2015年12月11日)。4面 。「予知できぬ現実直視を 被災地忘れた都市開発」


 読者の感想

2015年11月27日:毎週、毎週新しい話題で連載されるのは並大抵のことではありません。話題も幅広く興味深いものばかりで、素晴らしいです。

2016年8月12日私の大好きな地球物理学者 島村英紀さんの本を見つけました。ハウツーものではありません。面白かったです。楽しかった (*^o^*)


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