(工事中) 島村英紀 『多発する人造地震―人間が引き起こす地震』 (花伝社
2019年5月25日発行
「目次」と「前書き」と「後書き」と「私が撮った写真」と「新聞に載った紹介」と「読者からの反響」

171頁。A5判。ISBN-10: 4763408879  ISBN-13: 978-4763408877 1500円+税。
(これは本の表紙です。この絵をクリックすると表紙が拡大されます)
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 この本の目次
 ● 前書き … …5
序 章 世界各地で「人造地震」 9
第1章 はじまりは一九六二年、でももっと前にも 15
第2章 世界各地のダム地震 25
第3章 シェールガス開発以来、米国で急増した地震 55
第4章 原因は「水圧破砕法」 75
第5章 最近の「人造地震」、中国でも韓国でも騒ぎに 87
第6章 CCS( 二酸化炭素の回収貯留実験) 101
第7章 地下核実験が起こす人造地震 119
第8章 日本に人造地震が「ない」理由と、いまの日本をめぐる地震や火山の状況 131
第9章 地球になにかすれば、地震が起きる 145
第 1 0 章 「人工地震」は「人造地震」とは違う 159
 ● 後書き … …169


 この本のまえがき

 人間の活動が地震を起こす例が増えている。しかし、日本では本にまとめられたことはない。

 「図らずも」人間の活動が起こしてしまった地震がいちばん多く報告されているのは、シェールガスやシェールオイルの採掘である。そこで行われている水圧破砕法(すいあつはさいほう)が地震を誘発しているのだ。シェールとは、泥や土が堆積(たいせき)してできた頁岩(けつがん。英語ではshale、シェール)層のことだ。この地層に含まれるガスがシェールガス、原油がシェールオイルだ。頁岩層は地下数百〜数千メートルにある。

 しかし、それら以前にも、高いダムを作ったために地震が起きた例も世界中で報告されている。地下核爆発が地震を起こした例も少なくない。また水圧破砕法以前の旧来の手法での石油採取でも、じつは地震を起こしていたのではないかという研究もある。

 一般向けに、科学者がきちんとした科学的見地から、この問題についてまとめるような本が出版されたことはない。本書は、その最初の本になる。

 世界各地に人造地震が起きていて、日本でだけ起きないという理由はあるまい。しかし、国際的にも地震学の高い研究レベルを誇り、地震学者の数も世界最多である日本での研究は進んでいない。

 本書に書いたように、日本の地震学者が発言しない理由がある。

 第一には、日本ではふだんから起きる地震のレベルが高いので、この種の人造地震が起きても、ふだんから起きている地震と区別できにくいことだ。これをいいことに、たとえ人造地震が起きても、それを自然に起きた地震だということは可能である。こうして、日本で起きているかも知れない人造地震は、すべてが自然に起きる「自然地震」とされてきた。

 第二に、日本では政府も電力会社も、この種の研究を好まないことがある。研究予算としては民間のソニーもトヨタも頼れない地震や火山の研究では、国の予算しか頼るものはない。研究費を縛られるため、日本ではこの種の研究がほとんどないし、専門家も育たない。地震や火山の研究では国の予算しか頼れない事情ゆえ、政府の意に染まない研究はとてもやりにくいのである。

 欧州や米国など先進国の地震学会ではこの種の研究が進んでいて研究書も出されているのと比べて、日本はずっと後れているのだ。

 ところで、こうした人間による地震の発生は、各種の陰謀論と結びつきやすい。ネットなどでは、そうした論や情報があふれている。電磁波によって天候を変えたり、地震を起こしたり、火山を噴火させたりするという「地震兵器」や「HAARP」という言葉がネットで踊っている。だが、この本では 地震学的にはあり得ないことなので、この種の記述はしていない。

 この本のあとがき

 人間のさまざまな活動が地震を起こすことについて書いてきた。

 この種の人間活動は、人類や地球の未来を救う「期待の星」であることが多い。

 二酸化炭素の回収貯留実験(CCS)も、地熱発電も、シェールガスも、期待の星である。

 CCSは地球温暖化対策として、大気中の二酸化炭素を地下に貯留するものだ。地球温暖化対策の切り札とも言われている。

 また、化石燃料を使った火力発電だと、資源の枯渇と二酸化炭素を大量に排出する問題があるために、再生可能エネルギーを使おうという趨勢になっている。その再生可能エネルギーのうち、昼夜とか天候に左右されない安定した発電が地熱発電である。これからとくに日本で増えるだろう。

 水力発電や人類の食糧を支えるダムもそうだ。化石燃料の枯渇を救う水力発電や、食糧の確保によって人類の未来を担う農業用のダムも期待の星だった。

 そして、シェールガスやシェールオイルの採掘。これは、従来の化石燃料の枯渇を救って今までになかった資源が得られるものだった。

 だが、これらがいずれも、図らずも地震を起こしているのだ。

 じつはCCSは日本の各地の沿岸や東京湾その他にも実施する計画があるようだし、また、いま工事が進められているリニア中央新幹線計画も、トンネルの掘削で、あるいは開通後にも、地震を起こすのではないかと言われている。シェールオイルも日本で試掘が行われ始めている。

 また、石油などの化石資源が少ない日本では有力視されているメダンハイドレート採掘がある。日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つといわれている。

 メダンハイドレートは深海底にあり、「燃える氷」と言われているものだ。これから産業として始まるかもしれない新燃料、メダンハイドレート採掘も、もしかしたら地震を起こすかもしれない。

 さまざまな人間活動の結果として人造地震が世界各地に起きているのに、日本だけに地震が起きない理由はあるまい。だが、この本に書いたように、日本では研究も進んでいないし、それゆえ対策もない。

 現実を直視しないで、将来の希望はない。意図とは違って地震を起こしてしまう事実を明らかにすることによって、はじめて次の段階に進むことが出来るのだろう。

 この本が、陰謀論とは明確に一線を画した科学的知見に基づく本になることを著者としては望みたい。


 この本を書くことを薦めてくださり、終始励ましてくださった花伝社・平田勝社長に深い感謝を捧げます。また、編集者としてこの本の編集に努力してくださった大澤茉実さんに感謝します。

 この本で私が撮った写真
 ● 27頁の図4 アゾレス諸島の火口。ここでは雨が降ると地震が起きる。
● 52頁の図8 長野・松代の皆神山。ここで群発地震が収まってから、注水実験が行われた。
● 85頁の図14 北海道の森地熱発電所。日本での地熱開発は増える趨勢にある。
● 156頁の図19 北丹那断層で行われたトレンチ法での活断層解剖。この下に丹那トンネルが通っている。


 紹介や書評が出た新聞
『長周新聞』 2019年5月27日 『多発する人造地震 人間が引き起こす地震』 著・島村英紀 その記事)
『夕刊フジ』 2019年5月28日【編集局から】宮崎、千葉で相次ぐ地震… 「人間の作り出す地震」を科学的見地から紐解く
『北海道新聞』 「人造地震 研究の遅れ示す」 2019年7月3日夕刊4面 その記事)

 読者の感想

 2019.6.7科学者として誰よりも早く正確に分析し洞察して警鐘を鳴らすことはとても立派なこと
 殺し合いや地球温暖化などの目で見える地球破壊だけでなく、目に見えない所で知らない内に、更に恐ろしい地球破壊への道が世界中で進められているのですね。 科学者として誰よりも早く正確に分析し洞察して警鐘を鳴らすことはとても立派なことだけど、それを知らされた私としては、我が身の非力と地球の将来を嘆くばかり...
 このような見地から地球破壊の問題解決に当たろうとしている人達は世界のどこにいてどんな活動をしているのか、知りたいと思いました。


 2019.7.10人造地震という言葉を始めとして、私の知らないことばかりでした
 人造地震という言葉を始めとして、私の知らないことばかりでした。私は何も知らないのだなーと思いました。特に昨年の地震がCCSに関連しているとのことなどが話題になっていることすら知りませんでした。恥ずかしい思いです。内容は説得性のあるものだと思います。地球は本当に微妙な釣り合いで出来ていることを再認識しました。

 2019.8,23 「地下に何かすると影響がでる、というお話。怖いお話だけど、読んで良かった」というブログが出ました
世間的にあまり大きく扱われないこともきちんと伝えておられるこの本は、大変な衝撃であった。

出版前に、期待が出ました。
出版前に、別の期待が出ました。


「人間が起こした地震 人間でも地震の引き金を引けるときがあるのです」は、この本に含まれます。


島村英紀『多発する人造地震―人間が引き起こす地震』
島村英紀『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)
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