今月の写真
東京では夜目にも鮮やかな日本一の高い塔が伸びています。
しかし、私は、この高感度写真が過去になかったことを悔やんでいるのです。


東京23区の東部、東京都墨田区押上では、634mの高さを目指してテレビ塔、東京スカイツリーが建設されている。2010年の春に、その高さは、それまでの日本一高い建築物、東京タワーの333mを超えた。この写真を撮った2010年5月現在、368mの高さに達している。

自立している電波塔としては世界一の高さのものになる。工事は2008年7月に着工しており、2011年12月〜2012年早春に完成する見込みだ。しかし、自立式している建築物としては、ブルジュ・ハリファの828mに次ぐ世界第2位に甘んじることになる。

ところで、政府案通りに順調に行けば、この塔の完成時には従来からのVHF帯の電波を使ったアナログテレビは停波ずみのはずだ。そしてこの塔から発射される各テレビ局の地デジの電波はUHF帯だから、(VHF帯ほどは)電波の回り込みは期待できず、高層ビルが多い都会では、ビル影が増えることになり、受信に問題が起きるに違いない。

そもそも、インターネットによるテレビの再配信を政府が認めれば、こんな巨大で費用がかかる塔を建てる必要はないはずだ。どう見ても、巨大な塔を作る経済効果と既存テレビ局の権益のために、この超高層の塔が建てられているのであろう。

ところで、ここで書きたいのは、テレビ塔の話だけではない。この写真を撮ったデジカメの感度についてである。

この写真は、日没30分後に ISO1600 の感度にして、 F3.5 1/5sで撮った。カメラはPanasonic DMC-G1、レンズは35mmカメラで28mm相当である。

ISO 1600とは、フィルムカメラの世界では、ごく特殊な感度だった。ISO1600のフィルムは存在したが、粒子も粗く、色調も悪いうえ、そのフィルムをいったんカメラに入れてしまうと、昼間の写真はほとんど実用にならず、そのうえ、普通のフィルムでは問題にならない、カメラの光線漏れでフィルムが感光したりしてしまうのが、ISO1600であった。

カメラ側でも、そんな高感度は、想定せずに設計・製作していたのである。それゆえ、私もほとんど使ったことがない。私がもっぱら使っていたのは、コダクロームのKRかKLかKMのフィルムだった。これらは、30年以上経っても褪色しないのが取り柄だったが、感度は、それぞれ、64, 200, 25にすぎなかった。ある地球物理学者が火山の噴火を記録したフジクロームは、20年で、無惨にも全部が桃色になってしまった。コダクロームは外式、それ以外のフィルムは内式といって、本質的に褪色に弱いのである。

ところで、このように常用フィルムの感度が低かったため、北極圏や南極でオーロラや、北極圏の夕方の海で、海一面におびただしい数のアザラシが浮かんで魚を食べていた光景や、白夜の状景など、カメラでは記録できなくて涙を呑んだことも多い。

その意味では、デジカメは、新しい分野を開いたのだろう。この写真でも、明るく見える左側の路上では、新聞を読めないくらいの明るさだし、ちょっと離れると、人の顔も判別できないくらいの暗さなのである。

【追記】この種のデジカメの高感度は、夜空の星を撮るときにも重宝する。


 

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