今月の写真
日本の過疎について。特急が3両しかない「本線」

 2016年6月に兵庫県の中部に行った。兵庫県は瀬戸内海から日本海までわたっているから、写真を撮った篠山口(ささやまぐち)駅は、瀬戸内海と日本海から一番遠いところ、つまり山間部にある。

 ここには福知山線というJR西日本の本線が通っていて、近畿圏から城崎温泉や福知山に伸びている。長さは110kmほどだ。福知山線は1986年にあちこちに新しいレールが敷かれたり新しいトンネルが掘られ、電化・複線化された。だが、福知山線は、かつては山陰地方へ行く主要路線だったが、いまは山陰地方は山陽新幹線と、山越えの伯備線や智頭急行智頭線にその席を譲った。

 このためもあって、この路線に走っている特急は、写真の「こうのとり」だけで、ほぼ1時間に1本、日に14本、走っている。しかし、写真に見られるように、わずか3両のものが多い。3両だと、前後の運転席側には乗客用のドアがないから、全部で4ヶ所しか乗客のためのドアがないことになる。満員のときになにか起きたら逃げられないかもしれない。しかし、私が乗ったときも一車両にせいぜい数人だったから、満員になることは想定もしていないに違いない。

 ここ篠山は、昔から京都に食糧を供給する基地で、いまでも京都の錦市場では、篠山産の農産物が多く売られている。特急では大阪まで40分あまりしかかからない距離だ。

 特急は篠山口のひとつ南では三田(さんだ)に停まる。三田には神戸から私鉄も来ており、大阪方面へ直結している福知山線とともに、京阪神への通勤客のベッドタウンとして人口が増えていて、大型の商業施設も数を増やしている。三田は静かでいい町だったが人口が減って過疎になり、ベッドタウンとして生きる道を選択したのであろう。

 篠山口も同じ夢を見ている。駅前には無料の広い駐車場と、屋根付きの自転車やオートバイの駐輪場を作った。だが、両方とも、ほとんどがら空きである。空気はきれいだが、人口が減ると税収が減り、自治体の運営が苦しくなり、医療や教育のレベルも下がる。ベッドタウンとして生きられるのは都市近郊だけで、それも昼間人口が少なくて愛郷心もない人口だけが増えるという大きな犠牲を払わなければならないが、それも出来ないところを含めて、日本の過疎地帯に共通する悩みだ。

 それにしても、この特急列車は、無理をして強面(こわもて)になったような滑稽な顔をしている。「こうのとり」というイメージにはまったくそぐわない。これに比べると、欧州の列車の顔は、ずっとまともに見える。

 運転席の下にある前面の大きな扉を開けると、なにが入っているのだろう。まさかジェット旅客機のように、気象レーダーが入っていることはないだろうが。

 2011年にJR西日本の新しい特急車両として導入されたもので、南紀方面の特急「くろしお」用と同じものである。アルミ合金のボディーで、営業最高速度は130 km/hとされている。

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