島村英紀の裁判通信・その2
(2006年6月2日に発信)

 (初公判と、それまでの経過。Part 2)


<目次>

6 著書「公認 地震予知を疑う」書評
7 島村英紀の研究
8 島村裁判の疑問点
9 新聞報道
10 次回公判


<6「公認『地震予知』を疑う」(2004年柏書房刊)>
「地震予知は進歩していない」「政府は国民にウソをついている」と地震学の現状をバッサリと否定した「公認『地震予知』を疑う」(2004年出版)は、一般市民にも衝撃を与えました。なぜ島村英紀をおとしめようとしたのか、この本の書評を引用しておきます。
●東京新聞 04/3/21

自然科学についてまったく素人の私ですら知っている権威ある科学誌『Nature』がインターネット上で、「地震予知」に関する討論を世界中の研究者を対象に実施した記録が本書に記されている。

ある程度は予想した結果だが、不安や疑問を感じさせるに十分な内容だ。「一般の人が期待するような地震予知はほとんど不可能であり、本気で科学として研究するのには値しない」

この絶望的な結論はなんだ。ではいま、「予知」と呼ばれるような研究の多くはなんのためにあるのか。

それを明らかにするように、本書はさまざまなデータによっていかに「地震予知」がほぼ不可能か読む者に教える側面がある一方、本書で使われているのとは異なる文脈で引用するが、「自然現象としての『地震』と、社会現象としての『地震災害』とは別もの」であることをより強く認識させる。

「地震」を通じて「政治」がどのように動いたかを俯瞰することで、著者が強い筆致でその欺瞞を暴いてゆくからだ。

私はなにも知らなかった。

その無意味な研究にどれだけの予算が動き、税金が使われ、愚かとも思える政治がどのようにして官僚内で跋扈していたか。「東海大地震」が来るという「予知のようなもの」によってどんな「法」が制定され、その「法」が政治的にどういった意味を内包しているか。

さらに「地震予知の研究の困難さは地震の例証が少なすぎること」と「地震研究」について筆者が記すとき、それがひどくアイロニカルに響くのは、「例証」が少なくてよかったことに反して、では研究はどうなってしまうのかという疑問が相克するからだ。

不意にそれは来る。迂闊なことは誰も口にできない。原発は本当に地震に耐えるのか。「法」が発動されたとき「政治」はどう動くのか。阪神淡路大震災は多くのことを教訓と して残したが、疑問はまだなにも解決されないまま残されている。本書の言葉は厳しくそれを指摘する。(宮沢章夫=劇作家)

この本を読めば、島村英紀が、日本の官僚組織にとって、いかに邪魔な存在であったかに気がつきます。島村の業績を壊すこと、島村の説を疑わせることに、北大をはじめとする官僚たちの苦心が見えてきます。

5月26日の公判廷に現れた島村英紀には、腰縄・手錠が付けられていたといいます。

<7 島村英紀の研究>
●研究(観測)の舞台(とくに、何故ノルウエーで問題がおきたのか)

島村英紀がノルウェー・ベルゲン大学と共同で海底地震観測を始めたのは1982年頃です。

島村が地震計群を持ち込み、ノルウェーが観測船などを提供する共同研究として、地震の根源である地殻(プレート)が誕生する典型的な場所の一つである北大西洋ノルウエー近海底(大西洋中央海嶺)の、人工地震によるプレートの調査を続けてきました。

この海域ではアイスランド気象庁、大学とも地震と火山の観測、プレートの調査を20数年続けています。

さらに、島村は地球を覆う地殻(プレート)を全体的に把握するための共同研究を世界各地で実施しており、ノルウエーとの共同研究もその一環でした。

例えば、中部大西洋のアゾレス諸島沖ではフランスのパリ大学・ポルトガルのリスボン大学と共同研究を行ってきました。

また 、太平洋プレートの誕生の地である地震で有名なカルフォルニア沖の調査ではカルフォルニア大学バークレー校とも共同研究を行いました。

幾つかのプレートが潜り込む日本近海では世界で最初に6000メートルまで潜れる有人深海艇を造ったフランスとも、深海底に設置する特別な海底地震計を開発して、自ら深海潜水艇に乗り込んで、設置しました。

また、プレートの詳細な構造がほとんどわかっていない南極では歴史と実績のあるポーランド科学アカデミー、アルゼンチン国立南極研究所等と国際的な共同研究を実施しました。

島村は人工地震の国際学会の委員長も務めるなど、国際的な地震研究に貢献してきましました。

なお、海底地殻の研究は当然海底油田等の資源開発に密接に関係してくるので、特に、ノルウエーという国の国益からベルゲン大学が研究費確保に有利となるよう(この海底地震計は消耗部分の更新などの維持技術、測定データの解析技術などのノウハウ無しには使えない現実を知りながら)、形式的にでも保有を望んだことは想像できます。
●海底地震計の必要性と研究そのもの(試行錯誤で独自に開発した消耗品であり、データ解析まで含めると研究そのものである説明)
地震計とは実際の地震も測定するが、むしろ、X線を使ったレントゲンやCTで人体などを調べるように、地震波を使って地殻の構造を調べることが目的です。

また、日本で起きる地震の85%、マグニチュード8以上の大地震の全ては海底で起きているように、海底に設置し海底の地殻の地震波を精度良く測定できる地震計が不可欠です。

しかし、水圧が600気圧もかかる6000メートルまでの深海に設置し、測定が終わった後、ほぼ確実に回収でき、数十ヶ所で同時測定できなければならないという極めて難しい要求性能を満たす地震計は、世界中で試みても簡単には実現しませんでした。
島村が開発した地震計は、東大理学部に在籍した69年ごろから、自ら設計し、秋葉原のジャンク部品屋で部品をさがし、また、羽田付近の技術の高い町工場で加工して貰い、自ら組み立てて実際に使用してみて、改良していくという試行錯誤を繰り返し、世界で初めて実用に供することができる海底地震計として開発したものです。

その特徴は、世界最小で、安価で、扱い易く、回収もほぼ確実であることです。

600気圧に耐える圧力容器には、なんと、半球形の強化ガラスを上下合わせて用いているというユニークな発想で、測定のための設置に際しては、圧力容器を開いて計測、記録装置、電池等を入れて密閉し、架台に固定し、架台には超音波で作動する切り離し装置をセットするなどの高度な技能が必要です。

海底に設置してから機能しなかったら貴重な時間と費用の無駄になるから、圧力容器を含めて劣化したおそれのある部分はその都度新品と交換しなくてはならず、まさに消耗品です。

この地震計の開発については、世界各大学、研究所との開発競争物語と共に、彼の著書「地球の腹と胸の内(1988)、(株)情報センター出版局」に詳しく記されています。

更に、地震計は回収しただけでは何の意味もなく、テープに記録されたデータを解析し地殻の構造を解明する必要があります。

ここにこそ高度なノウハウがあり、島村が著書の中で「実験が終わってからでも1、2年、実験を計画し初めてからでは、目鼻をつける迄には5、6年かかる」と書いているように、地震計を 含めていわゆる「大学の備品」等というものでなく、「研究そのもの」というべきでしょう。

なお、南極での国際的な共同研究と地殻構造のデータ解析については、彼の著書「日本海の黙示録・・・地球の新説に挑む南極科学者の哀愁(1994)(株)三五館」に詳しく記されています。

<8 島村裁判の疑問点>
●民事と刑事
刑事事件として、「業務上横領」で北海道大学は告訴しました。

普通は、刑事事件として告訴中は、民事裁判を起こさないものですが、検察がなかなか動かなかったせいか、北大は、「損害賠償請求」という民事訴訟を起こしました。

その訴訟は、「私は、北大の何を売ったのか、そして何の損害を与えたのか」と主張する島村英紀に有利に進み、北大側の弁護団は05年秋に「弁償して和解」の線を出していました。そこに、いきなりの逮捕でした。
●この逮捕と起訴の奇妙な点
逮捕

「地検が動いて逮捕する場合、普通なら、「任意の取り調べ、家宅捜査、任意同行、逮捕」の手順を踏みます。しかし、島村英紀の場合、半年も取り調べがなく、06年2月1日にいきなりの逮捕、家宅捜索でした。これは、異常なことだ」

●刑事事件として、起訴

「普通なら、前日に高検を交えて検討し、翌日朝一番で起訴する。従って、起訴当日は取り調べがない。しかし、島村英紀の場合、起訴当日まで取り調べがあって、起訴されたのは夕方であった。これも異常事態だ」(以上は06年3月11日に、尾崎弁護士の事務所で聞いた話)
●問題になっているお金は、島村英紀がまだ北大地震火山研究観測センターのセンター長だった1998?1999年の研究費です。ノルウェーのベルゲン大学との共同研究を押し進めていた時代の話。それをいまになって問題にするのはなぜなのでしょうか?
また当時の北大事務官は、外国からの入金については島村が処理を訪ねると、「大学ではできないので、自分で処理してください」と指示しています。これは別の北大教授も新聞の質問に答えて、「自分も大学からそう指示された」と答えていました。

たしかに、外国から振り込まれた研究費を自分の口座に入れたことは、「脇が甘い」といわざるをえません。

しかし、しかしなのです。当時の国立大の研究費経理とは、そんな状況だったのではないでしょうか? 

自分の通帳ですから、自分の稼いだお金も入っています。たぶん原稿料なども振り込まれたかもしれません。そのお金を引き出しているのに、「流用した」といういい方はないでしょう。後から考えついた理由なのです。
島村英紀逮捕が、「いかに国家や学会に望まれていたことか」を表す声明が出ています。社団法人日本地震学会から、逮捕の翌々日2月3日にすばやく下記の声明が公表されました。あまりにも素早い対応に、仕組まれた「島村追い落とし劇」を見る気がします。
●島村英紀会員の逮捕について 2006年2月3日 社団法人日本地震学会

 2月1日,本会の島村英紀会員が,詐欺の疑いで札幌地方検察庁に逮捕されました.

報道によれば,北海道大学が海底地震計などを売却したように装って,ノルウエーの大学から約2千万円をだまし取ったとの容疑によるとのことです.容疑が事実であるならば,地震研究者への社会的信頼を大きく裏切るものであり,極めて遺憾と申さざるを得ません.

 同会員は本会の代議員の職にあり,日本地震学会としてもこの事態を極めて重く受け止めております.今後の捜査の進展を見守り,適切な処置を行って参ります.

 皆様には,ご心配をおかけして誠に申し訳ございません.ご理解の程,何とぞよろしくお願い申し上げます .

島村英紀註:この地震学会の声明には、学会の内外から、強い批判が出ました。たとえばジャーナリストから、
あるいは、地震学者から。

<9 新聞報道>
逮捕以来、島村側からの情報発信はありません。接見禁止が続いているからです。

代わりに検察リークと思われる記事は氾濫しています。とくにいちばん最後に参考として紹介する「毎日新聞」の記事は、見事な報道操作をうかがわせます。島村とはまったく関係のない論文偽造事件などを絡ませ「学者の犯罪」と弾劾しています。

読んで恥ずかしくなるような構成です。しかし、「取材をしないままに書く」ということは、こういうことだという戒めのためにも、ここに載せておきます。

天につば吐く者には、それがいずれ自分たちに戻ってくることを思い知る日が訪れるでしょう。
●朝日新聞 2006年02月02日
元北大教授逮捕 「詐欺の犯意」焦点に
■ 前極地研所長を詐欺容疑で逮捕 --- 国の備品売却巡り

海底地震研究の権威として知られる島村英紀・前国立極地研究所所長(64)=東京都練馬区=が北海道大学教授時代に大学の備品をノルウェーの大学に売却し、北大が業務上横領容疑で告訴していた問題で、札幌地検は1日、島村容疑者を詐欺の疑いで逮捕した。同容疑者は、金の受け取りは認めているが、犯意は否定しているという。

調べでは北大の地震火山研究観測センター長だった98年9月ごろから99年5月ごろにかけて、共同で研究をしていたノルウェーのベルゲン大学に対し、国有財産の海底地震計や関連機器を売る権限がないのに売却し、自分の口座に計2千万円余りを入金させてだまし取った疑い。


■「形式的売却」と否認

北大が札幌地検に告訴して9カ月余り。海底地震研究の権威として知られた島村英紀容疑者(64)=前国立極地研究所所長、元北大教授=について、同地検がついに強制捜査に乗り出した。2日にも札幌地裁に勾留(こうりゅう)請求をする。一方、島村容疑者は調べに対して容疑を否認したといい、両者の主張は対立している模様だ。島村容疑者は「売却は形式的なもので、受け取った金は研究に使った」と朝日新聞の取材に答えていた。

札幌地検は告訴を受理してから島村容疑者が共同研究していたベルゲン大のあるノルウェーの捜査当局に国際捜査共助を要請し、検事を同国に派遣するなどして捜査を進めてきた。同地検は1日午前、島村容疑者に都内の自宅から東京地検へ任意同行を求め、同11時過ぎ詐欺容疑で逮捕した。

島村容疑者は東大理学部卒で、東大助手などを経て72年に北大に着任した。海底地震研究の第一人者として知られ、北大西洋などでプレートの動きや地下構造を調べてきた。研究で最大の「武器」となる海底地震計は、東大時代の60年代終わりから開発を始め、今日まで改良を重ねている。

観測のため毎年のように極地に出向いていた。ポーランド科学アカデミー会員や国際組織の南極科学委員会の副会長も務め、04年12月、極地研では初めて外部から所長に就任。マンネリ化も指摘される南極観測へのてこ入れが期待されていたが、北大に告訴され、05年4月に辞任した。

歯にきぬ着せない論客として知られ、政府の地震研究を「予知に過大な期待を抱かせている」などと批判してきた。一般向けの著書も多い。


■「適正な処分を」/北大がコメント

島村容疑者の逮捕を受け、北大は逸見勝亮・副学長名で「本学の告訴をきっかけに今回の逮捕につながったものであり、適正に処分されることを期待している」とのコメントを出した。


■島村容疑者 一問一答/「私的流用していない」

島村容疑者は疑惑発覚後に朝日新聞の取材に応じ、地震計売却の経緯などを説明していた。主なやりとりは次の通り。

--北大の備品である地震計を勝手に売却したとされている。

「地震計は手作りの消耗品で、備品には当たらない。数百気圧の海底に沈めるため、2?4年しか持たない。古い部品を入れ替え、常に構成が変わっている。丸ごと買える品物ではなく、購入時期も特定できない」

--仮に消耗品でも、税金で購入したものを売っていいのか。

「売却は全く形式的なものだ。共同研究の帰り際には、現地で地震に即応できるよう地震計を何台か無料で残してきた。以前から置いてきたものを、形だけ先方の所有としたに過ぎない」

--なぜ形式的な所有が必要になったのか。

「ベルゲン大は私たちの協力で成果を上げたが『日本の助っ人のおかげ』と批判されていた。95年ごろ、先方から『対外的に説明できるよう、形だけでも所有させて』と要望された。断り続けたが、押し切られた」

--形だけといっても金を受け取っている。

「形式上は代金だが、実際は以前から提供されている研究費と同じものであることを、ベルゲン大側と確認している」

--なぜ送金を国庫に入れなかったのか。

「理学部の事務官に問い合わせたら『外国の小切手は受け取れない』などと断られた。銀行が厳しくなってグループ名義の口座を作るのも難しかったため、個人口座に振り込んでもらった」

--金の使い道は。

「すでに大半は使ったが、すべて研究目的で私的流用はない」
●北海道新聞 2006年02月02日

「島村容疑者は○五年四月に北大から刑事告訴された際、北海道新聞のインタビューに対し、海底地震計売却のいきさつについて「ノルウェー側から『形式だけで良いから、売ったことにしてくれ』と再三言われ、研究者仲間として断り切れなかった。

(研究の)スポンサーであるノルウェーの石油会社などが『自前の地震計を持たないと研究費を出さない』と言い出したからだ」などと説明していた。

島村容疑者はまた、ノルウェー周辺の共同研究で使用中の複数の地震計について「ベルゲン大側がそのいくつかを『買収した』と国内向けに主張してもかまわないことにし、形だけの売買契約を結んだ。ノルウェーからは『代金』の名目で研究費を受け取り、すべて共同研究に使った」などとも主張。

島村容疑者は「売却は形式的なもので、私的な流用は一切ない。罪には当たらない」と強調し、逮捕後もこの主張を崩していないとみられる。」
●北海道新聞 2006年02月05日

ベルゲン大が地元紙に「被害認識ない」 地震計詐欺事件
 権限がないのに北大の海底地震計を売却すると持ちかけ、ノルウェー・ベルゲン大から金をだまし取った詐欺容疑で元北大教授島村英紀容疑者(64)が札幌地検に逮捕された事件で、現地の地元紙「Bergens Tidende」(ベルゲン時報)は二日の紙面で、「今日の時点で、われわれが詐欺にあったとは感じていない」とするベルゲン大側の見解を掲載した。

 同大地球科学研究所の運営委員長オラフ・エルホルム教授がインタビューに、「(島村容疑者の逮捕は)日本の内部問題と考える」などと答え、事件化への疑義を示している。

島村英紀が拘束され、検察情報しか入らない状態で、新聞各社は「逮捕」に記事を書いている。

どこも検察リークが主体だが、中でもひどかったのが下記毎日新聞の記事である。島村とまったく関係のないソウル大学論文ねつ造事件などをからめて、島村の個人攻撃をしている。こんなところが検察と新聞の現状であるという証拠として、あえて引用する。
●北海道新聞 2006年02月22日

北大地震計詐欺 島村容疑者を起訴 札幌地検、容疑否認のまま

札幌地検は二十一日、権限がないのに北大の海底地震計を売却すると持ちかけ、共同研究相手のノルウェー・ベルゲン大教授から代金二千万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、元北大地震火山研究観測センター長(教授)で前国立極地研究所所長の島村英紀容疑者(64)=東京都練馬区=を札幌地裁に起訴した。

弁護人によると、島村被告は起訴事実を否認している。

 起訴状によると、島村被告は同センター長だった一九九八年九月と九九年五月、共同研究のために北大からベルゲン大に持ち込んだ国有財産の海底地震計について、売却の意思も権限もないのに、それがあるように装いベルゲン大教授に海底地震計五台と関連機器一台の売却を持ちかけて請求書を郵送、自分個人の口座に計二千万円を振り込ませてだまし取った。

 地検の調べでは、島村被告はベルゲン大側から振り込まれた金を北大に納入せず、大半を自分の口座にプール。島村被告はベルゲン大側から送金された研究費ではなく、北大の予算で部品を購入し、今回の海底地震計を組み立てていたという。

 この問題では、北大が昨年四月、代金を北大に納めず着服したとして業務上横領容疑で島村被告を札幌地検に告訴し、地検が受理して捜査。「立証のしやすさから」(地検)逮捕容疑、起訴事実を詐欺罪に切り替えた。

 島村被告は海底地震研究の世界的権威。今回問題となった海底地震計は島村被告が中心となって開発し、手付かずに近かった海底地震研究を飛躍的に発展させた。
●毎日新聞 2006年02月01日

詐欺:北海道大元教授を逮捕、海底地震計の代金だまし取る

 大学同士の売買を装って、ノルウェーの大学から海底地震計の代金名目で現金をだまし取ったとして、札幌地検特別刑事部は1日、北海道大元教授で国立極地研究所前所長の東京都練馬区、無職、島村英紀(ひでき)容疑者(64)を詐欺容疑で逮捕した。

 調べでは、島村容疑者は北大地震火山研究観測センター(札幌市北区)のセンター長だった98年9月ごろと99年5月ごろ、海底地震の共同研究をしていたノルウェー・ベルゲン大学の教授をだまし、地震計5セットと受信機1台の代金計約2000万円を個人名義の銀行口座に振り込ませた疑い。

島村容疑者は容疑を否認しているという。詐欺罪の公訴時効は7年だが、海外滞在期間中は停止するため、時効は成立していない。

 島村容疑者は東京大大学院博士課程地球物理学専攻を修了。地震学の第一人者として知られ、98年に同センター長に就任した。

04年12月、同極地研究所(東京都板橋区)所長に就いたが、その直後に今回の疑惑が発覚。北大は05年4月、「北大のものである地震計などを勝手に売却した」として、島村容疑者を業務上横領容疑で札幌地検に刑事告訴していた。

北大は代金の返却を求める損害賠償請求訴訟も札幌地裁に起こしている。島村教授は告訴を受け同極地研所長を辞任した。

 逮捕を受け、北大の逸見勝亮副学長は「地震研究の分野で有名な人だっただけに残念だが、よくないことをしているのだから逮捕は当然と思う。適正に処分されることを望む。地震計の売却代金の返還も引き続き求めていく」と話した。

【真野森作、武内亮】

●毎日新聞インターネット版  2006年2月1日 22時10分 (最終更新時間 2月2日 1時38分)

◇学者への不信強まるのは必至

 島村英紀容疑者は地震学や南極観測に大きく貢献した学者だった。今回は金銭に対する姿勢が問われた事件であり、最近相次ぐ論文ねつ造疑惑と質は異なるが、学者への不信が強まることは必至だ。

 島村容疑者は1970年代末に今の海底地震計の原型を開発、世界初の実用的な地震計と評価された。水深6000メートルの水圧に耐える地震計の製作は容易ではなく、海外の競争相手が断念するなか、「ものづくりが大好き」(本人)という性格が奏功し、10年以上かけて開発にこぎつけた。

 一方、日本の地震予知計画について、「一度も実際の予知に成功していない」と言い切り、反発を受けたこともある。今回の事件は、北大へ寄せられた内部告発が端緒だが、こうした関係者の不満が告発を招いたという声もある。

 研究分野では不祥事が相次いでいる。韓国・ソウル大教授は論文をねつ造し、東京大教授は論文の真実性を当事者が期限内に証明できなかった。これらは生命科学という、国際競争が激しく一刻も早い研究費を得たいとする分野で発生した。

 これに対し、地震学は継続的な観測が求められる比較的地味な分野だ。また、「個人口座への入金は常識を逸脱している」(別の大学の会計担当者)と言われ、個人の資質によるところが大きい。

 日本は資源が乏しく、科学技術が国を支える。研究者に対する期待は大きく、資金の扱いを含め倫理観を高めることが改めて求められる。

【田中泰義】

<10 次回公判>
なお次回公判は6月6日、7日の両日、午前10時より、札幌地裁(井口実裁判長)で開かれる予定です。

これには検察側証人として、ノルウェー・ベルゲン大学教授だった男が出廷します。

これに対抗するために、弁護士はノルウェーに飛び、ベルゲン大学が「詐欺にあったのかどうか」を確かめてきました。

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島村英紀の家宅捜索・逮捕・連行劇
島村英紀の獄中記
海底地震計・海底地震観測とはどのようなものなのだろう
悪妻をもらうと哲学者になれるなら:海底地震学者は「哲学者」になれる
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島村英紀が書いた「もののあわれ」

誰も書かなかった北海道大学
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