日本でいちばん地震が少ないところは?緊急地震速報は役立つの?津波警報は信用できる?など、地震に関する基本的な六十六の質問に答えた。
地球物理学者の著者は「地震予知はできないという学問の現実を見てほしい、不意打ちに備えてほしい」と前書きで語っている。
(サイエンス・アイ新書、1000円)
記事の切り抜きはこちらへ。目利きが選ぶ本(日経net)(457)・2008年9月5日
『日本人が知りたい地震の疑問66----地震が多い日本だからこそ、知識の備えも忘れずに!』
現代科学でも、まだ地震はいつ起きるのか予測できません。
本書では、地震が気になる人の疑問を独自のアンケートで集計し、地震のメカニズムや原因などの基礎的なところから、日本のどこに住めば地震に遭いにくいのか?緊急地震速報は実際どのくらい役に立つものなのか?どうして地震予知はいまだに実現しないのか?など、すぐに役立つ身近な知識を紹介します。
(竹内薫=サイエンスライター)
この書評はこちらへ
『夕刊フジ』2008年11月6日号・17面(ラテ番組面)
学者の立場から見た地震とは?
『日本人が知りたい地震の疑問66』島村英紀
「地震を正しく知り、正しく恐れることが、地震から身や家財を守ることになる」と本当は言いたいが「地震は予知できないという学問の現実を見てほしい、不意打ちに備えてほしい」というのが地震学者である著者の立場だ。
目次には次のようなQ(質問)が並ぶ。日本でも四川大地震クラスが起きる可能性は?日本国内のどこに住めば地震の被害に遭わなくてすむか?震度5以上は、どの程度の確率で発生するか?地震の前兆は、なぜ、あとになってから発表されるか?一般向けの緊急地震速報は本当に有効か?住んでいる地域の活断層はどうやって調べるか?執筆前にインターネットで5000人から地震についてのアンケートを集めたという。
記事の切り抜きはこちらへ。また、インターネット版はこちらへ。
『週刊東洋経済』2008年9月28日号(web版)
『日本人が知りたい地震の疑問66』島村英紀
編集部の「地震についてのアンケート」に寄せられた5000通もの回答をもとに、なぜ地震は起きるのかといった基本的なメカニズムから、地震とマグニチュードの違いや地震速報への対応法といった素朴な疑問66に答える。
地球物理学者で前国立極地研究所所長の著者によれば地震予知は今の科学では不可能で、地震後に報告されるさまざまな「前兆」情報は心理学でいう錯誤相関にすぎない。地震国といわれる日本にとって大切なのは、地震が来ても大きな被害を出さないこと。地震被害は人間の知恵と工夫で避けられるもので、地震について正しく知り正しく恐れることが、地震から身や家財を守る術につながると「知識の備え」を問いかける。サイエンス・アイ新書 1000円
このほか、
「北海道新聞」2008年10月26日(日曜)書評頁(14面)に紹介されました。
島村英紀『日本人が知りたい地震の疑問66----地震が多い日本だからこそ、知識の備えも忘れずに!』(サイエンス・アイ新書) への読者の反響
2008.9.19 「関東地震ひとつをとっても、自らの知識がいかにいい加減であったことかと思い知りました」
「地震の疑問66」を興味深く拝読しました。裏表紙に書かれている「地震の備えは……いいえ知識です」が言いえて妙ですね。関東地震ひとつをとっても、自らの知識がいかにいい加減であったことかと思い知りました。
そして、今の学問レベルでは予知し得ない地震の予知が、いずれ可能になるかのごとく装う政府と研究者の連携も透けて見えてきます。例の事件の下敷きが、こんなところにあるのかと考えさせられました。
もう一つ感じたのは、災害とりわけ都市災害の(数少なかろう)専門家たちは、地震予知の現実についてどのように認識しているのだろうか、という疑問です。金の出所という点では、災害研究者も地震研究者も共通の関心事ですから。
2012.10.6 「文面は柔らかく、優しく、暖かく、しかも内容は世界中の例に及び、現地へ出向いていろいろな活動をなさっていることに感動しました」
島村英紀様
本を見つけた幸運と、著者のあなたに感謝申し上げます。
文面は柔らかく、優しく、暖かく、
しかも内容は世界中の例に及び、
現地へ出向いていろいろな活動をなさっていることに感動しました。
インターネットで「油田と地震」で探し始めるとアメリカで有名になったお化けのキャラクターのようなイラストが目に付き、
「あっ、このヒトだヽ(゜∀゜*)ノ」と思いました。
私の母と変わらぬお年なのを知り、
もっともっと輝いていて欲しいと思うばかりでした。
他の方々もブログなどで取り上げているように
分からないと思われることを「分かりません」とはっきり述べられたり、
国家や政府は本当におかしいと思うのですが、
それをやっつけるような、はき捨てる言い方もなさらない。
地震予知、有料の地震速報のサービス等について
実際のところ、不都合なところが分かって有難く思いました。
謙虚で、礼儀正しさを感じました。
もっと自分に足りないものを感じました。
人類が「私たちの資源」と勘違いして
地球から搾取しているものに対して、
宝石にしろ、石油、鉱石にしろ、それが地球にとって何なのか、
そして将来それを償わねばならないのだということを感じています。
「陸前高田が動く」と、2011年3月11日の東北関東大震災の地震を
予測した松原照子さんは、
石油のことを《地球にとって血液》と、森林伐採を憂い、
《木は地球の肺》だと書いていたのを思い出しました。
島村英紀さんのこの一冊の本で、
中国の三峡ダムの地震、
アメリカの放射能廃棄物の地底処理について
浅知恵な人間が素晴しいアイデアだと思って
やっていたことが、自分の首を絞めていたようだと知りました。
そうなると、他の著書を早速読みたくなりました。
わたしたちはもっともっと謙虚になる必要があると思いました。
前から自分にはこれも足りないと思っていましたが、
今回またそう思いました。
どうもありがとうございます。
わたしはあなたを応援します。
愛を込めて。
ブログから
ブログから「結構新鮮な内容です。第9章あたりは、かなり衝撃的でした。ちょっと飲んだ時にでも、喋りたい…」だそうです。
商売柄、こんな本も気になって読むわけですが、半分くらいは「そうそう…」とか思う内容ですが、この本は一味違いました。こちらに少々内容が出ていますが、結構、新鮮な内容です。第9章あたりは、かなり衝撃的でした。ちょっと飲んだ時にでも、喋りたい…。
ブログから「著者はどうも、お役所にあまり好感を持ってない学者さんらしく、読んでいてそこここに”うまいこと仰るなー”というコメントがあって笑ってしまった」だそうです。
名前でググったら過去になにやら逮捕されてるらしく、そっち関係の手記っぽいものも出しているとか。そのうち読んでみよう。
2011年6月のブログから「(今回2011年の福島原子力発電所ばかりではなく、かつて)三宅島の2000年の噴火の際にも政府機関によって行われていた、安心デマ・安全デマについて。まるで成長していないどころか、さらにひどくなっている」だそうです。
三宅島の2000年の噴火の際にも政府機関によって行われていた、安心デマ・安全デマについて。まるで成長していないどころか、さらにひどくなっている。以下はこの本からの抜粋。
「でも別のことならば、政府は隠したことがあるのです。
三宅島が2000年に噴火して、9月に全島民が避難したことがあります。その後、いつ島に帰れるかが島民の最大の関心事でした。
このときに三宅島から出ている有害な火山ガスが、あと何年噴出するかが問題でした。学者の計算の結果では、学者によって5.5年から26年とまちまちでした。
しかし気象庁は、「行政的な判断」で、「あと1年」と発表したことがあるのです。人々を安心させよう、ということでしょうか。
当時の学者の計算は、その計算の根拠も、また結果もあてになるものではありませんでしたが、お役所は科学分析の結果を、このように「利用する」ことがあるのです。(p.144)」
2016年5月のブログから 「でも僕は、ほかの地震関係の本と違い、”3.11の前に出ていた”という意味でこの本を改めて評価したい。それはどういうことか」だそうです。
この本は東北地方太平洋沖地震のあと、大幅に加筆修正されて「日本人が知りたい巨大地震の疑問50 東北地方太平洋沖地震の原因から首都圏大地震の予測まで」という名前で再販されているようだ。今後読まれる方はそちらを読むべきだと思う。
この本に書かれているのは、地震のメカニズムと地震予知、その他の地震学の試みについてで、基礎的な内容でもあり、震災後に溢れた地震関係の情報に触れていれば、真新しいものは余りないかもしれない。でも僕は、ほかの地震関係の本と違い、”3.11の前に出ていた”という意味でこの本を改めて評価したい。それはどういうことか。
著者は引っ張っているゴムひもが切れるタイミングや、落としたコップの割れ方を予測することを例に、地震予知の難しさを分かりやすく解説している。そして、海外ではほとんどの国が地震予知を諦めているなかで、日本ではいまだに大臣や族議員まで動員して公的機関の予算の取り合いが続いているのだという。
3.11ののちよく聞かれた「てんでんこ」という言葉。地震がおきたら人のことよりも自分がまず避難を始めなさい。それがほかの人たちの手本となって、全体の避難活動が速やかに行われるのだ。という予備知識が、ほとんどの住民を津波から救った村の話が記憶に新しい。この教訓から見れば震災対策の予算は予知に当てるのではなく、防災教育や耐震のための費用に使うべきであったはずだ。
そしてそれを既得権益側であるはずの地震学者自身が、震災前にすでに明らかにしていることが、この本の画期的なところなのだ。
この本を読んで自分が今までなんとなく抱いてきた違和感の意味がよく分かった。「○○地震は過去、百年に一度起きています。前回起きたのが百年以上前ですから、今後いつ起きてもおかしくはありません。」という文言を僕たちは地震学者のコメントとして何度も聞いてきた。そのとき感じていた違和感。
その説明は、歴史学者や統計学者のいうべきもので、地震学者がいうべきことではないだろうということだ。地震学者ならば、最近の微細な地震の頻度、火山の活動、活断層の変化などからそれを説明すべきはずだ。それができないということは実際、大地震の発生と計測や観測結果とは関係がない、もしくは関係が分かっていないことを表している。
著者の島村氏は地震予知は不可能だと言い出してから、様々な苦労をなさったようだ。興味のある方は島村英紀でネット検索してみてほしい。問題の根深さがわかるかもしれない。
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