島村英紀『夕刊フジ』 2015年7月17日(金曜)。5面。コラムその111 「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」

地球と酷似する金星にも火山活動
「夕刊フジ」の公式ホームページの題は「地球と酷似する「金星」にも火山活動 「地球温暖化」の終着点とも」

 このところ日本の火山が騒がしい。しかし火山の噴火は地球だけに起きる事件ではない。最近、金星で火山活動が発見された。

 金星はいちばん明るく見える星で、明け方と夕方だけ見える。「明けの明星」と「宵の明星」だ。

 最近、金星の上空を飛ぶ宇宙探査機が金星の地表を溶岩流が流れているのを発見した。この探査機はヴィーナス・エクスプレスという欧州宇宙機関(ESA)のものだ。

 解析では地表よりも数百℃以上熱い高温の物質が、それぞれが1平方キロメートル〜200平方キロメートル以上のものが点在することがわかった。金星の表面で火山活動がいま起きているのにちがいないことが分かったのだ。

 金星は地球よりもはるかに多くの二酸化炭素があるせいで「地球温暖化」の終着点とも言われている。表面温度は500℃にも達する。このため海の水も蒸発してしまった。いつも厚い雲に覆われていて外から地表の様子は見えない。

 いままで金星着陸を目指した惑星探査機は多いが、この高温のためにほとんどのものが燃え尽きてしまった。かつて旧ソ連の探査機が1982年に着陸して地表の画像を2枚だけ送ってきたのが唯一の成功例だ。その後これも燃えてしまった。

 米国はパイオニア・ヴィーナス2号を打ち上げたが、高温に耐えきれず本体と4機の子機のうち本体は地表到達前に、子機3機は到達と同時に、残り1機も着陸わずか68分後に通信途絶してしまった。

 金星も地球も、そして太陽系全部は約46億年前に同時にできた。

 金星は地球よりも約30%太陽に近いところを回っている。地球の大きさよりも5%小さいだけの「兄弟」である。

 地球が作られてから現在までの1/3ほどのときに「マグマ・オーシャン」といわれる、溶けたマグマで表面がすべて覆われた時代があった。海や大陸ができたのはその後である。

 金星でも途中までは地球と同じ過程をたどった。しかしこの数百万年は火山活動がなくなっていたと思われていた。だが今回の発見で火山活動があることが分かったのだ。

 溶岩流が発見されたのは「ガニキ谷」という不思議uな名前の地溝帯だった。新しい地殻があるところだ。地球でもアフリカの東部など地溝帯からは溶岩が出てきている。

 太陽系で地球のほかに火山活動があることが分かっていたのは木星の衛星のひとつである「イオ」だけだった。これで火山活動をしている「仲間」が増えたことになる。

 ちなみにイオの大きさは地球の約1/4、月ほどの大きさだ。数多くの火山が噴火を続けていて、さしわたし25キロメートル以上の大きなカルデラが100個以上も見つかっている。

 金星の自転の速さはきわめて遅い。一方、太陽の周りをまわる公転は地球よりも速い。つまり「1日」のほうが「1年」よりも長いのだ。

 また金星は地球など他の太陽系の惑星とは反対の方向に自転している。太陽は西から昇る。

 地球から見ると奇妙な「兄弟」なのである。

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