島村英紀『夕刊フジ』 2016年10月21日(金曜)5面。コラムその171「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」 

地球の外の星にも地震はあるのか

 95光年先の宇宙からの信号を受信したことが8月30日に報じられた。

 かつては地球上の生命が、地球だけにたまたま起きた事件だと考えられていた。だが、条件さえ揃えばどこでも生まれるということが分かってきた。

 それゆえ、地球と同じような環境の星や地球外生命を探すことに科学者の関心が移っている。人類よりも高度の文明を持った地球外生命を探すことさえ行われるようになっている。「能動的な地球外知的生命体探査」という計画だ。

 95光年離れたところからの信号は、ロシア西部にある科学アカデミー特別天体物理観測所の電波望遠鏡が受信した。

 ヘラクレス座の方向から来たと報じられた信号は11GHz(ギガヘルツ)の周波数だった。受信した信号の強さから、もしこの信号が、四方八方へ向けて出されたものだったら、そのエネルギーは10の20乗ワットという莫大なものと計算された。これは太陽光よりも数百倍強い。この強さの信号を出せるのは地球文明よりもはるかに進歩した文明でなければありえない。

 ところで、見えているヘラクレス座は太陽に近い大きさの恒星群で自ら光っているから、温度は数千℃もあるはずで、もちろん生物は住めない。だが、この恒星系には少なくとも1個の惑星「HD164595b」がある。大きさは海王星くらいで、40日間で軌道を1周する。この惑星や近くの未知の惑星になにかが住んでいるのだろうか。

 しかしその後、世界各地の電波望遠鏡を動員して探したが、この電波は二度と見つからなかった。現在ではこの宇宙からの信号は、地球のどこからか出た信号を誤って捉えたものではないかと考えられるに至った。

 地球で発せられた電波を宇宙からの信号と勘違いする例は、じつはよくある。電波望遠鏡は非常に微弱な電波を観測する性能を備えているから、たとえばオーストラリアのパークス天文台では天文学者がレトルト食品を温めたところ、電子レンジが発するマイクロ波を宇宙からの信号と間違って観測したこともある。

 だが、地球のような環境や、そこに住む高等生物を探す試みはこれからも続けられるだろう。

 じつは過去にも1972-73年に打ち上げられた米国の宇宙探査機パイオニア10号と11号に、人類からのメッセージを絵で記した金属板が取り付けられた。1977年に打ち上げられた2機のボイジャー探査機にもメッセージが書かれた「ゴールデンレコード」が搭載された。このレコードにはピアニスト、グレン・グールドの名演奏、バッハの「平均律」録音も含まれている。

 この9月末には中国南部の貴州省で直径500メートルもある世界最大の電波望遠鏡が完成した。目的の一つは地球外生命の探査だ。そのうちに、高度な地球外生命やその文明が解明されるのだろうか。

 もし通信が可能になったら、私としてはいちばん訊いてみたいことは、その星に地震や噴火は起きるのだろうか、ということだ。太陽から近くて、まだ内部が熱いゆえ起きていると考えられている事件が地球だけのものかどうか、知りたいからだ。

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