島村英紀『夕刊フジ』 2017年4月28日(金曜)。4面。コラムその196「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」 

地球を激変させる隕石の恐怖
『夕刊フジ』公式ホームページの題は「地球を激変させる隕石の恐怖 落下地点から1000キロ以内にいたら即死」

 4月19日、日本時間の午後9時すぎに小惑星「2014 JO25」が地球に最接近した。丸くはなくて、二つのピーナツが入った殻のような奇妙な形をしている。

 最大径は650メートル。もちろん、地球に衝突したら大事件になる。

 幸い、この小惑星は地球に落ちてこなかった。一番近づいたときには180万キロ。月までの距離の約5倍だった。

 このサイズの小惑星としては2004年の9月に小惑星「トータティス」が156万キロまで近づいて以来だ。13年ぶりになる。トータティスは直径約5キロだった。そのときも今回も、天文学者らが小惑星を間近で観察できる珍しい機会になった。

 だが、落ちてきた例も多い。落ちてくれば「隕石(いんせき)」になる。たとえば2013年にロシア西南部・チェリャビンスクに落ちて爆発した隕石は約17メートルの大きさだった。衝撃波で東京都の面積の7倍もの範囲で4000棟以上の建物を破壊し、1500人もの重軽傷者を生んだ。今回の「2014 JO25」は、それよりもずっと大きい。

 もっと前には、はるかに大きな隕石が落ちてきて、世界にはびこっていた恐竜が絶滅したこともある。

 それは6600万年前にメキシコ湾に落ちた大きな隕石だった。これはマグニチュード(M)10にもなる震動や、高さ300メートルを超える巨大な津波を生んだ。M10の地震とは、過去100年間に世界で起きたすべての地震が同時に発生するようなものだ。

 それだけではなく、舞い上がった岩石のチリが広く地球を覆って植物が光合成が出来なくなって環境を激変させてしまったのだ。隕石の大きさは10キロほどだったと思われている。

 もし、この種の隕石の落下がまた起きたら、その落下地点から1000キロ以内にいたら岩石の破片による即死か、数秒以内に火球によって死んでしまうとの試算もある。

 いや、隕石は地球だけに降るのではない。地球と兄弟の惑星である天王星の自転軸がほかの惑星に比べて大きく傾いているのは、過去に巨大な天体が衝突したためではないかと考えられているのだ。

 隕石が地球に向かってきたらもちろん危険だから、数年前から米国で「地球近傍天体観測計画」が行われている。

 しかし直径数十メートル以上の天体は、地球に接近する可能性があるものだけで100万個もある。そのうち発見されているのは1万個ほどにしかすぎない。チェリャビンスクに落ちた隕石も落下してくるまで知られていなかった。探査計画にも限界があるのだ。

 そのうえ、小惑星の軌道は太陽や地球など惑星の重力で変わる。

 「2014 JO25」は2014年に見つかったからこの名前がついた。前回地球に接近したのは400年前で、次に接近するのは600年後になる。

 今度接近してくるときには、もしかしたら、地球直撃型の軌道をとっているかも知れない。もちろん、ほかの小惑星が衝突してくる可能性がないわけではない。

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