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車体の字を右から書くのは日本独自の習慣なのでしょうか

 トラックの右側の側面に字が書いてあることが多い。日本では横書きの場合、トラックの「前から後ろへ」字を書くことが多い。このため、右側面の字は、「右から左へ」書く、つまり普通の書き方とは反対になってしまう。

 なぜ「右から左へ」書くようになったかは諸説あるが、「進行方向の前から書き出すということで縁起をかつぐ」説が強い。また、戦前には右から左へ書くのが一般的だったということから比較的抵抗がなかったということもあろう。なお、台湾では日本より後まで右から左へ書くのが続いた。1980年に台湾の行政院の指令で
横書きは左から右に書くようになった経緯がある。

 トラックには限らない。写真の埼玉県所沢市のタクシーも、日本の習慣に倣って、右側面には「前から後ろへ」、つまり「右から左へ」字を書くことになったはずだ。

 ところが、「TAXI」の字には困った。まさか英語を逆さまに書くのはへんだ、という議論をしたにちがいない。この議論の結果、すぐ上に書いてあるタクシー会社名の日本語とは逆に「TAXI」と書くことになったにちがいない。

 そして、もっと困ったのが「所沢(ところざわ)」という字にちがいない。もちろんタクシー会社名の日本語と同じように、「前から後ろへ」、つまり「右から左へ」字を書くことは出来たはずだ。でも、人口34万人、東京のベッドタウンのひとつである埼玉県「所沢」を知らない人のところまで走っていくこともあるタクシーでは、「沢所」が正式名(正規の場所)だと思うかもしれない、という議論があったはずだ。

 そして、白熱した議論の結果、「所沢」という字はタクシー会社名の日本語とはちがって、「左から右へ」つまり、誰でも読める方向になったのにちがいない。結果、三つの言葉の左右が入り乱れて、ひどく滑稽なものになった、というわけなのである。

 ちなみに、中国では、そんなことはお構いなしに、右側の側面でも正規の「左から右へ」書いてある。欧米の国々でも右側の側面でも「左から右へ」書いてある。つまり、この習慣はいかにも日本的なものなのである。


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