『花時計』(読売新聞・道内社会面)、1996年3月8日夕刊〔No.48〕

跨座式鉄道に乗ったことある?

 跨座式鉄道に乗ったことある?

 こう聞かれたら、たいていの人は、はて、と頭をひねってしまうにちがいない。では無軌条電車は? 案内軌条式鉄道は? 懸垂式鉄道は?、と言われたら、いったいどこの国の話だと思うだろう。

 じつは、このどれもが私たち北大の職員が出張するときに乗る乗り物なのだ。北大の職員だけが乗れる乗り物ではない。みんなが普通に乗っている乗り物なのだが、わが北大の職員は旅費の書類にこう書かなければいけないのである。

 跨座式鉄道とは東京の羽田空港から乗るモノレールのこと、無軌条電車はトロリーバスのこと、案内軌条式鉄道は神戸の三宮から出ている新交通のこと、懸垂式鉄道は神奈川県の湘南モノレールのことである。

 まるでクイズだ。鋼索鉄道とはなんだろう。そう、ケーブルカーだ。けれども、ロープウェイは索道と言わなければならないのである。

 それだけではない。北大の書類にはバスとか路面電車というものはない。それぞれ、乗合自動車とか軌道とか書かなければいけないのである。「軌道」に乗って薄野(すすきの)に行くとは不思議な言いかただ。まるでレールの上に立っていればレールが動いて運んでくれるようではないか。

 昔の慣習が残っているのではない。私はつい3カ月前に来た書類を見て書いているのだ。

 日本のどこかで新しい乗り物が誕生するたびに、お役人の仕事が増えるのである。

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