今月の写真
かつて大地震も経験した地震国なのに、この建築は・・・

ヨーロッパの国々は、日本よりは地震が少ない。

しかし、それでも、いくつかの国は、歴史上、大きな地震に見舞われたことがある。たとえば、スイスのバーゼルは14世紀、正確に言えば1356年に直下型地震に襲われて壊滅したことがある。また、ポルトガルのリスボンも、18世紀、1755年に沖で大地震が起きて大津波に襲われて、地震と津波で市内のほとんどが壊滅し、当時27万人いた市の人口の1/3が亡くなったことがある。

ところが、これらの地震がどういうメカニズムで起きたのかは、よくわかっていない。その後現在まで、大地震は起きていない。日本のように明瞭なプレート境界があって定常的に大地震を起こしているわけではないし、明かな活断層があるわけでもない。

なお、私はこのポルトガル沖の地震がなぜ起きたのか、海底地震計を持っていって観測したことがあって、かなり情勢が分かってきた。

これらとちがって、同じヨーロッパでも、ギリシャやイタリア、それにアイスランドは、メカニズムが比較的分かっている。ギリシャやイタリアはプレートの潜り込みによる地震、アイスランドはプレートが生まれる海嶺(かいれい)の地震だからである。これらの国々の地震は、日本の大地震のように巨大な災害を起こさないまでも、歴史上も何度も繰り返されてきている。アイスランドでの地震活動も、私たちは海底地震計で調べたことがある。

なお、イタリア、ラクイラで2009年に起きて309人が亡くなったラクイラ地震について、地震学者が責任を問われて有罪になった2012年のイタリア地裁での判決もあった。

そして、この写真のルーマニア。ここでは1977年にマグニチュード7.2の大地震が起きて、首都ブカレストで大被害を生んだ。当時はチャウシェスク大統領の時代だったから、被害の大きさは国家機密で、正確な被害は知られていないが、死者は7000人に達したのではないかと言われている。

この地震の被害は不思議なことに、震源の上ではなくて、100km以上離れたブカレストに集中していた。震源の深さは約130kmもあり、震源からブカレストまで伸びているプレートに沿って、強い地震波が上がってきたものだと思われている。

このように深い地震で、しかも遠いところに被害が集中するのは、世界的にも珍しい。しかし、ルーマニアの地下には、この深さ近辺で地震を起こすメカニズムがあり、大きな地震が起きると、再びブカレストを大きな揺れが襲うことが地震学的には懸念されている。

写真は2012年11月に、ブカレストの繁華街で撮ったビルの新築現場だ。写真で見られるように、なんとも柱が細い。それだけではなく、3階部分の柱は、下の階につながっていない。つまり、積み木のような造りなのである。

ルーマニアの地球物理学者によれば、ルーマニアには、ビルを建てるときの耐震基準がとても甘いのだという。一般住宅には耐震基準はない。また悲劇がくり返されなければいいのだが・・。

他方、日本には耐震基準があるが、他国のことを悪くは言えない。

私がかねてから著書に書いたり主張しているように、基準を作った工学系の先生たちの地震学の知識は貧弱で、たとえば、地面の上下の動きをほとんど考えずに、水平の動きだけを基準にしているなど、多くの問題がある。また、建物を造るときの実際の地震動の記録も、60年以上も昔の、しかも米国での記録を使っていて、その揺れに耐えれば大丈夫だとして建てられているからである。


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