帝国書院「中学校 社会科のしおり」2009年1月号・表紙

大西洋中央海嶺上の地熱の国、アイスランド

 アイスランドは大西洋中央海嶺の上に位置している地熱が豊富な国だ。海嶺とは地下数百キロメートルの深さからマグマが地球表面に上がってきているところで、世界の海底を合計75000キロにもわたって這っている世界最長の火山脈である。それゆえ地熱が高い。海嶺は、出てきたマグマが冷えて固まって新しいプレートが誕生する最前線でもある。

 アイスランドの岩は、作られてからせいぜい約千万年のものだから、長い時間かかって作られる石油や石炭のような化石燃料は産出しない。それもあってアイスランドでは、電力のすべては多くの地熱発電といくぶんの水力発電でまかなっている。

 発電以外の地熱の利用も多い。国内各地に地熱の採取施設があり、取り出した熱水を太いパイプラインで市町村に送っている。たとえば首都レイキャビックではどの家にも熱水が無料で供給され、風呂や家事のほか、多くの家庭にある温室の熱源でもある。

 写真の地熱発電所はレイキャビックの南西約40キロの溶岩原の中にある。地下2キロのところから出てくる240℃の熱水を発電に使ったあと、5000平米もある世界一広い露天風呂にしているところだ。水の色からブルーラグーンといわれる。

 温泉だからミネラル成分が多い。温泉水の中の石灰や珪素の白い粉を顔や身体にパックのように塗って面妖な顔になっている女性も多く、美肌の湯としての効用も信じられている。長風呂する人も多く、写真のように風呂の中でも飲み物が買える。

 この国はここ以外にも地熱を利用した露天風呂や露天プールが多い。雪が積もっている冬にも水泳や入浴を楽しめる。顔だけは寒いが、氷点近くの屋外でも、とても気持ちがいいものである。

(武蔵野学院大学特任教授 島村英紀)

【以下は長すぎて省いたところ】

●じつは電力はあまっていて、「輸出」までしている。北極圏に近い北大西洋の孤島だから、電力の輸出といってもケーブルで電力を輸出するのではなく、ボーキサイトを輸入して、大量の電気を使うアルミニウムの精錬をして輸出をしているのである。

●温水の温度は発電後でも70℃もあり、水で薄めて37〜39℃に維持されている。観光地としても有名で年間約20万人近い客のうち半数以上は外国人旅行者である。

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