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中東カタールの不夜城---私たちはいつまで地球の石油を使えるのだろう

 深夜、中東カタールの上を定期航空機で飛んだ。まるで不夜城。巨大な石油産業は、夜も眠らない。大量の原油がここ中東地域で掘り出されて処理され、世界中に送られている。

 漆黒の闇のなかに伸びる光の首飾りはなんとも美しい。だが、私たちが石油や天然ガスや石炭といった化石燃料を掘り出して大量に使っていることは、未来の人類から資源を奪っていることだ。

 人類がこれら化石燃料を大量に使いだしてから、まだ100年ほどしかたっていない。しかも化石燃料の消費量は年々増え続けている。エネルギー源として、交通だけではなく、発電にも、工業にも、商業にも使われているからだ。エネルギー源ばかりではなく、化学繊維やプラスチックやタイヤの生産にも多くが使われている。

 ところで、「化石」燃料という名前が示すとおり、石油も石炭も天然ガスも、昔の生きものの死骸が地球の中で数千万年以上の長い間かかって変化していって作られたものだ。生物が化石になるような時間がかかって、生物から化石と同じようなプロセスで作られたものなので「化石燃料」といわれる。

 じつは地球物理学の謎として、石油のうち、少なくともその一部はマントル内のガスがしみ出してきた非生物起源のものではないかという学説がある。つまり石油の一部は化石燃料ではないという説だ。まだ、この謎は解けていない。しかしあったとしても少量で、大部分の石油が化石燃料であることは確かなことである。

 化石燃料は、恐ろしく長い時間がかかって地球の内部で作られてきたもので、再生産することはできないものなのだ。

 人類は長い間かかってできたこの化石燃料をたいへんな勢いで使っている。作られた時間よりもはるかに短い時間のうちに消費していることになる。こうして私たちは、地下水と同じように、未来の人類から化石燃料という資源を奪っているのである。

  そして、近い将来に化石燃料を使いつくしてしまうという見通しも発表されている。 20世紀末に行われた予測によれば、確認されている石油の可採埋蔵量は、このままのペースで世界に供給すればあと約40年しかもたない。

 この予測には、いろいろな曖昧さが残っている。ひとつは、この予測には未発見の埋蔵量が考慮に入っていないことだ。新たな埋蔵地が発見されれば可採埋蔵量は増加するはずだ。そのほか、可採埋蔵量が減っていくにつれて採掘のためのコストが上がる。経済的に引き合う範囲でなければ採掘されない。このため可採埋蔵量も経済状況や技術の進歩などによって変わってくることもある。

 化石燃料の産出地は地域的に偏っている。多く消費している国は、ほとんどが遠くからの輸入に頼っている。自前の石油では足りなくなった中国も遠くから運んできている。日本はもともと自前の石油はほとんどなく、エネルギー源のほぼ全量を輸入に頼っている。先進国でエネルギー源を輸出しているのは英国とノルウェーくらいのものなのである。

 このためエネルギー資源の安定供給を図りたい各国は、依存地域の一極集中を避けたいという意識が強い。この問題と枯渇の問題がバイオ燃料などの代替エネルギー開発への動機になっている。しかし、これはこれで、大きな問題を引きおこしているのである。

(この文章の多くは島村英紀『「地球温暖化」ってなに?科学と政治の舞台裏』から取りました)

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